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仕様変更を繰り返して辿り着いた全域トルク型の特性
GTスーパーチャージャー+GT-RSタービン改の直列過給!
このS13シルビアはオーナーが入手してから15年以上、より新しく高質なチューニングを追い続けてきた結晶だ。
千葉県のJ&Kとの二人三脚で仕様変更を繰り返し、現在はVEヘッドへの換装に加えてGTスーパーチャージャー+GT-RSタービン改で構築する直列過給のツインチャージャーシステムに進化を遂げている。
このシルビアが、今でこそ定番になりつつあるVEヘッド化に踏み切ったのはずいぶん前のこと。その理由は、ドリフト好きでもあるオーナーがSR20DETのロッカーアーム飛びを何度か経験し、その予防と高回転化を求めたことに由来する。
合わせて吸気系は4連スロットル化も行ったが、低中速域&ハーフスロットル域のコントロール性がシビアで、安定したエンジン特性を求めるドリフト走行には向かないと判断。その後、サージタンクを大型化したままシングルスロットルへと仕様変更するなど、メイク&トライを繰り返してきたという。
過給機系に関しても、ステップアップを繰り返してTD06-25Gをはじめとするウエストゲート式のフルタービン仕様など、定番のハイチューンも経験。それから、さらに安定したトルク特性を求めてHKSのスーパーチャージャー仕様へと変更。
これにより、タービン交換同等のピークパワーと安定性は得られたものの、今度は低中回転域でブースト圧が高まらないGTスーパーチャージャーの特性ではドリフト走行に対する満足が得られず…。そうした経緯を経て、現在の直列過給ツインチャージャーへと発展したというわけだ。細部を見ていく。
HKSのGTS8550スーパーチャージャーと、アクチュエーター式のGT-RS改タービンが共存するインパクト抜群のエンジンルーム。
なお、GT-RSタービンはコンプレッサーホイールをGT3037サイズに変更し、エキゾーストホイールも3mm拡大&カットバック加工(8度)したスペシャルを搭載。スーパーチャージャーでの追過給を前提に風量アップしたのだ。ウエストゲートとアクチュエーターは両方機能し、排圧の上昇をコントロールする。
エンジン本体は、腰下に東名パワードのH断面コンロッドを組み、ピストンにはエクストレイルのSR20VET用0.2mmオーバーサイズを投入。ヘッドは可変リフト機構を持つP12プリメーラのVEヘッドを加工流用し、カムシャフトもパルサーVZ-R・N1用(純正で288度!)を使っている。
インタークーラー前後のブローオフバルブは、スーパーチャージャーによる過給制御を行うリリーフ弁として機能。これで、タービン過給とスーパーチャージャー過給のバランスを取るわけだ。
ワンオフの大容量サージタンクは、VEヘッドのインテークマニホールドに繋げられる。スロットルはNA用60φシングルだ。
エンジンマネージメントはF-CON Vプロが担当。フルブーストは1.5キロ、余裕を持って選定したはずの850ccインジェクターが8000rpmで全噴射となってしまうため、現状では回転を抑え気味にしているという。それでも500psを楽に超えるというから恐れ入る。
足回りはエンドレスのジールファンクション車高調でセットアップ。ハブは5穴化し、ホイールにはアドバンレーシングのモデルT7(F17インチ R18インチ)を前後異径でセットしている。ブレーキは前後ともスカイライン用キャリパーだ。
室内はノーマル然とした仕上がりだ。メインメーターは、センターに9000rpmスケールのタコメーターが配置される前期(CA18搭載車)の希少なオプションを採用。オーナー自らが配線加工などを行って装備した。
シートはブリッドのブリックス、ドリフト走行を前提にサイドバー付きロールケージもインストールしている。ミッションはニスモ6速を奢る。
製作を担当したJ&Kの神保代表によると「4000rpmで過給が1.0キロほどかかるのは以前のフルタービン仕様と大きく変わりませんが(フルブーストは1.5キロ)、2000〜4000rpmの領域で、当時に比べてトルクが10kgm以上増えていて、乗りやすさや走りの質感は大幅にアップしていると思いますよ」とのこと。
実際に試乗もさせてもらったが、その扱いやすさはとても500psクラスとは思えないほどナチュラルでフレキシブル。スタートで気を使うこともなく、まさに日常の足としての実用性を兼ね備えた、ハイチューン仕様という表現がピッタリの1台だ。
●取材協力:J&K 千葉県山武郡九十九里町真亀629 TEL:0475-76-2714
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