「マニアなダイハツ・アプローズにさらなる個性を!」パーツ選択とカスタム手法にオーナーのセンスが光る

3ボックスセダンのフリをして実は5ドアハッチバック!

ダイハツマニアが辿り着いた珠玉の1台!?

これまでエッセ、オプティ、タント、ストーリア…と、ダイハツ車ばかりを乗り継いできたオーナーのKさん。小学生の時、ダイハツに勤める父親が乗っていたアプローズが好きだったそうで、免許を取ったら自分でも乗りたいと思っていたという。

そこでグレードを問わず中古車を探し始めたものの、納得できるクルマがなかなか見つからない。それでも根気よく探して2年が経った頃、ようやく1台のアプローズが出てきた。5速MTで4輪ディスクブレーキ仕様の1993年式中期型リミテッド。もちろん、程度も悪くない。

「これは買わなしゃあないなと思って」と、Kさんは当時を振り返る。それが今回取材させてもらったクルマで、実は部品取りとして同じ中期型のAT車も確保しているそうだ。

取材車両のリミテッドを見ていくと、フロントグリル中央のエンブレムは本来アプローズの頭文字を取った『A』だが、輸出モデルに装着されるダイハツの『D』に交換。プロジェクター式フォグランプはリミテッドに標準装備される。フロントリップスポイラーは汎用品で、サイドステップとの統一感を出すため黒を選んでいる。

ハイマウントストップランプ内蔵型リヤスポイラーはリミテッドに標準装備。3点支持のタイプIIとなる。ちなみに、中間グレード16Xiと廉価グレード16Liにはトランクリッドベタ付け式のタイプIがオプション設定されていた。また、サイドステップは純正オプション品とは異なり、オーストリア仕様のウレタン製を装着する。

ホイールはACシュニッツァー製BMW3シリーズ(E30)用の16インチを装着。フロントはそのまま、リヤは18mmスペーサーを介してセットされる。タイヤはサイドウォールが柔らかく引っぱりやすいということで、165/50サイズのナンカンAS-1が組み合わされ、絶妙な車高とフェンダークリアランスで履きこなす。

手前にスラントしたダッシュボードによって開放感がある前席。最上級グレードのリミテッドはオートエアコンが標準装備となる。モモ製4本スポークステアリングホイールとシフトノブは純正オプション品を装着。

さらに、内装で注目したいのはシートだ。前席は2脚ともレカロのLXに交換…と、そこまでは普通。

Kさんが凄いのは、もう2脚レカロを買って生地だけを使い、後席もレカロ仕様にしていることだ。その仕上がりは「純正オプションでこういう設定があったのでは?」と思うほど。ちなみに、前後席とも純正を残しているためフルノーマルに戻すことも可能とのこと。

さらに、装着しているしていないに関わらず、ヨーロッパ仕様の純正パーツを多数ストックしているのがいかにもマニアらしいところ。例えば、メインメーターユニット。実際にそこまで出るかどうかは別として、スピードメーターは210km/hフルスケールで、左右インジケーターの配置も日本仕様とは微妙に違っていたりする。

また、『D』マーク入りアクリル製ヘッドライトカバー。飛び石によるガラスレンズの割れを防止するアイテムだが、海外ではこのようなものが純正オプションとして用意されていることに驚かされた。

さらに、裏面に『Made in Austria』と刻印されたトランクリッドスポイラー。日本仕様のタイプI、タイプIIスポイラーと形状が異なるだけでなく、ハイマウントストップランプもレスとなる。

それらのパーツに対して熱く語ってくれた様子から、アプローズに対するKさんの真っ直ぐな気持ちが伝わってきた。

最後に軽く試乗。ロングストローク型となる1.6LのHD-E型エンジンは低回転域でも十分なトルクを発揮。カムカバーはバフがけによって光沢感を出している。プラグコードはウルトラ製に交換。その色に合わせてパイピング類もイエローで統一される。

1トン弱の車重もあって、早めのシフトアップでもよく走る。ワンオフマフラーから放たれるエキゾーストサウンドも軽快だ。下から覗き込むとメインサイレンサーも2分割式とされ、複雑なパイプレイアウトを採用していることが分かる。

同じくワンオフの車高調が組まれた足回りは確かにソリッドだが、ストローク感がしっかりしていて決して不快ではない。むしろ16インチの50扁平タイヤを考えれば、よく履きこなしてると思えたほど。

今や街中で見かける機会は皆無に等しいダイハツ・アプローズ。そんな希少かつマニアックな旧車を、自分のペースで楽しんでいるなんて羨ましいかぎりだ。

■SPECIFICATIONS
車両型式:A101S
全長×全幅×全高:4310×1660×1375mm
ホイールベース:2470mm
トレッド(F/R):1425/1415mm
車両重量:1050kg
エンジン型式:HD-E
エンジン形式:直4SOHC
ボア×ストローク:φ76.0×87.6mm
排気量:1589cc 圧縮比:9.5:1
最高出力:120ps/6300rpm 最大トルク:14.3kgm/4800rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式:FRストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR 185/60R14

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PHOTO&TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

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