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自由に飛翔する発想力でストリートを席巻
他にはないクールな出で立ちは、西海岸の有力ショーでも注目の的!
カリフォルニアで『デイリー・ドリブン・レボリューション』というオーナーズクラブを運営しているデビッド・パチェコは、JDMをこよなく愛するカーガイだ。アメリカ人であるデビッドにとって日本車は輸入車ということになるわけだが、デビッドに言わせれば国産車であるアメ車のほとんどは「ガタイもエンジンもでかくて四角いだけのクルマ」ということになるらしい。
ギュッと凝縮されたサイズ感にスポーティなスタイリング。その中にハイテクを詰め込んだ日本のスポーツカーが国境を超えて愛される理由は、それがクルマとしての根源的な魅力を備えているからに他ならないと、改めて実感させられる。
そんなデビッドの愛車は2011年式のランエボX。レイズ、ファルケン、エンドレス、バリス、ボルテックス、クスコと、日本人に馴染み深いブランドのパーツがてんこ盛りだ。日本では「性能ありき」のチューニングが主流ともいえるエボXだが、ショークオリティを追求しているデビッドの愛機は、我々日本人に新鮮な印象を与えてくれる。
実際に人と同じ手法でカスタムすることは避けるように心掛けているそうで、JDMパーツを多用する一方、エアロやエンジンルームにはワンオフのカスタムワークを数多く取り入れ、常にオリジナルであることを追求している。
クラブの名前にもなっている通り、デイリー・ドリブン(日常的な街乗りドライブ)がクルマ作りの基本になっているが、パワーは529hp(約536ps)、トルクは425lb・ft(約58.6kgm)とパフォーマンスは十二分。
BoostjunkiesのEXマニを取り付け、一躍エンジンルームの一等地へと引き出されたタービンは、Compturbo製の6262ターボを採用。ダウンパイプ、インテークパイプ、インタークーラーパイプは全てカスタムで、エキゾーストの出口はドラッグレーサーばりのボンネット出しとなっている。
燃料は、アメリカでは手軽に手に入れられるエタノールとガソリンの混合燃料であるE85を使うが、それに伴いフューエルラインは改良。NOSでドーピングもされている。もちろんワイヤータックやバルブカバーのパウダーコーティングなど、魅せるための技も導入。
ボルクレーシングTE37(10.5J×18+15)に、ファルケンアゼニスRT615K(275/35R18)を組み合わせる足元だけをフォーカスすれば、とてもアメリカ人がアメリカでやっているカスタムには見えない。スポークから覗くビッグキャリパーも日本が誇るエンドレスで、フロント6ポット、リヤ4ポットが組み込まれている。KWのV3コイルオーバーサスでローダウンされ、スタンスもキマっている。
エクステリアは、バリスのフロントバンパーとカーボン製スプリッター、サイドスカートを装備し、リヤウイングにはボルテックスを採用。リヤのディフューザーとアンダーボードは地元のCRZYエンジニアリングが仕上げ、ショーネームである“THE BLUE PRINT”が型抜きされている。左側のヘッドライトはPassword JDMのカーボンエアダクトに交換され、タービンへとフレッシュエアを送り込む。
クスコの7点ロールケージやKeysレーシングのステアリングホイールなど、インテリアにもJDMを多数取り入れている。追加メーターはアメリカのProsport製。ピラーやルーフライナーにはスエード表皮をカスタムで張り合わせ、オリジナリティを表現した。
デビッドが代表を務めるデイリー・ドリブン・レボリューションは2010年にわずか5台のクルマとオーナーで発足したそうだ。だが、現在の登録メンバーとクルマは20台以上にのぼり、地域もカリフォルニアだけでなく、ニューヨーク、シカゴ、そして日本、韓国、ギリシャとワールドワイドな広がりを見せている。
車種はエボの他、WRX STIやMR2など、ほとんどが日本車だ。デビッドにとっては、自分のエボXが雑誌などのメディアに取り上げられることもひとつの到達であるとのこと。その喜びは家族同然の付き合いをしているチームの仲間達と分かち合う。その気持ちが、またチームの団結を生むのだ。
PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI