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パワーウエイトレシオは驚異の2kg/psを達成
現代的レストモッドでハコスカが現役ドリ車に!
盛大なタイヤスモークと共に、ハイアングルの高速ドリフトでコーナーを華麗に駆け抜けていくキャンディレッド×マットブラックのGC10。これは、ハコスカ愛が高じてドライカーボンのボディパーツまで作ってしまった“H.D.O”の板倉代表が、ドリフトを楽しむためだけに製作した1台だ。
「価格が高騰しているハコスカでも4ドアなら比較的安く手に入れられますし、18歳から続けているドリフトを大好きなクルマで楽しみたかった。ただ、L型エンジンやセミトレのリヤサスなど、ノーマルベースでチューニングを進めていっても限界は低いので、エンジンや足回りはC34ローレルから移植。当初は、軽快に振り回そうとSRエンジンで構想していましたけど、ハコスカには6気筒と考えてRB25DETをスワップしています」。
一般的に、オリジナルや定番仕様から外れるチューニングは邪道とされがちな旧車だが、ここまでの話からも分かるように板倉代表が重視するのは“楽しさとカッコ良さ”に他ならない。細部を見ていこう。
エンジンルームに鎮座しているのはL型ではなく、C34ローレルのRB25DETだ。エンジン本体はノーマルだが、ギャレットGT3076Rタービンを装着し、ブースト圧1.5キロを掛けて550ps&65kgmを発揮させる。1トン前後の軽量ボディであることを考えれば、十分すぎるパワースペックだ。
エンジンマネージメントはフルコンのLINK、電装系コントロールにはモーテックのPDM15を使用する。この辺りのパーツチョイスとメイキングは最先端の競技ドリフトスペックとイコールだ。
レッド一色のインテリアメイクにも板倉代表の個性が炸裂。ワンオフのダッシュボードにマウントされたメインメーターは、 LINKとCAN通信させたダッシュロガー(MXS1.2ストラーダ)。レーシングカー的セットアップの中に、当時感を強く感じさせるハコスカの純正ラジオが好アクセントとなっている。
550ps超のパワーを受け止めるために、ボディはスポット溶接増しと12点式ロールケージで徹底補強。トランクに向かう2本のアルミパイプは、リヤマウント化したラジエターのウォーターラインだ。
エンジンやミッションだけでなく、足回りもC34ローレルから移植。優れたトラクション性能やセットアップの幅が広いシステムへとアップデートすることで、走りの限界値を大きく引き上げた。
エクステリアを覆うドライカーボンパーツ(フロントエプロンやボンネット、クォーターパネル等)は、H.D.Oが旧車パーツブランドとして展開する“オールドスター”の製品でコンプリート。
ちなみに、今回の取材をオファーした段階で、このハコスカはドリフト中のクラッシュからリヤ周りに大ダメージを負っていた。しかし、ドライカーボン製のボディパーツ一式を揃えているため、わずか2週間でクォーターパネルやバックパネルなどの交換作業を済ませて完全修復してきてくれたのだ。
オーバーフェンダーはフロント70mm/リヤ80mmの拡幅仕様だが、視覚的にもワイド感を盛り上げるためにアーチラインを上方向に引き上げているのがポイント。これに伴ってリヤドアのキャッチが使えなくなるため、ドアパネル固定にはボンネットピンを流用して仕上げている。装着ホイールは、RSワタナベのエイトスポークRタイプ(18インチ)だ。
「お金のない若い頃は、ランニングコストやパーツの豊富さからハチロクでドリフトしていましたが、大好きなハコスカで思う存分走りたいと考えて遊べるドリフト仕様を製作しました。ちなみに、D1GP参戦に向けて現在VR38スワップの2ドアハコスカを製作中です!」とは板倉代表。
仕上がりは限りなくコンクールコンディション。それでいて、深いアングルでのハイスピードドリフトを繰り出せるのだから、完全無欠のスーパーチューンドと言っても決して過言ではないだろう。
取材協力:エイチディーオー 広島県福山市引野町273-1 TEL:084-945-0856
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