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2002年当時のスタイリングをリスペクト!
のむけん&4ドアR34人気は海を超えヨーロッパまで波及
スポーツカーの主役は2ドアクーペ。そんな固定観念から脱却するきっかけを作り、4ドアセダン人気を押し上げた立役者と言えば、D1GP黎明期から活躍した名ドライバー“のむけん”こと野村謙選手だ。
彼が愛機として長年乗り続けた4ドアのER34は、多くのファンにセダンの可能性を示し、スカイラインセダン=おっさんグルマの印象を払拭。その結果、今や2ドアクーペにも匹敵するほどの人気を集め、プレミア価格が掲げられるほどにまで盛り上がっている。
「正直、2001年に乗り始めた頃は4ドアのスカイラインなんて好かんかったです。クルマは重かし、パワーも無い。こげなクルマじゃ勝てん!と本気で思っとった。ばってん、当時ブリッツのメカニックで担当やった阿部ちゃんが、セダンのスカイラインにゾッコンで、さらにビデオオプションの企画も絡んでしまって…。で、どうせ乗るならってことで、エアロとか足回りとか色んなパーツを製作。だんだん愛着が深まっていって、気づいたら4ドアしか乗れん身体になっとったんですよ」と、のむけん。
ちなみに、2002年のD1GPに出場したER34のスペックは、ブリッツK5-660Rタービンを組んだ468ps仕様。シルビア等の2ドア勢に比ベて圧倒的に重いこともあり、実のところ戦闘力は今ひとつだったと言う。それでも“いか天”時代から培ったテクニックでシリーズ3位に輝き、稀代のER34使いとしての道を進み始めたのだ。
そんなD1GP参戦最初期モデルを、のむけん自らの手でトレースしたレプリカマシンがこのER34。のむけんにとって特別な1台であることは言うまでもないが、現在D1GPで戦っている息子の圭市選手にとっても、幼少期に見た父の勇姿と重なって非常に思い出深い存在だったそう。事実、今回の復刻プロジェクトは圭市さんの発案だったのである。
スタイリングは、当時主流の張り出しが大きいURASのD1スペック2エアロをセット。ボディカラーもアスリートシルバーをベースに、デカールなども当時のデザインを完全再現。また、すでに絶版となっているホイール「ブリッツ・テクノスピードZ2」も探し出し、当時と同様の懐かしいフォルムを完成させた。
一方、中味は当時仕様に拘らず、ストリートスペックとして仕立てているのもポイント。かつてのパワーソースはRB25DET改だったが、このレプリカではよりチューニングメニューが豊富な1JZ-GTEへとエンジン換装がなされた。
シートはフルバケットではなく、コンフォート性能の高いブリッドのユーロスター2をセット。リヤシートもブリッドのグラデーション生地で張り替えられ、トータルコーディネイトが図られている。
「セダンなのにFR/MTでターボも選べるパッケージは、ER34最大の魅力。だからこれからもパーツ開発を進めて、色んなアクションを起こしていければって考えとるよ。こんなに面白かクルマは、他には絶対に無かですからね」。
なお、この復刻仕様は東京オートサロン2024への出展直後に購入希望者が現れて売却。購入者は、ドイツでチューニングカーディーラーを営むヒーグさんで、第二世代GT-RやRX-7などを得意とする生粋のJDMフリークとのこと。
のむけんとレジェンドマシンが持つカリスマ性は、日本だけに留まらず世界に広がって注目を浴びているというわけだ。
●取材協力:URAS 福岡県大野城市仲畑2-11-17 TEL:092-558-4111
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