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時代に合わせ性能・機能を大改修!
フロアの大移植でストラット+マルチリンクに!
往年のプリンススカイラインS54Aの登場だ。この個体は、多種多様なクルマを所有するオーナーが、タレントの所ジョージ氏が所有する2JZ-GEスワップ仕様のプリンススカイラインをリスペクトして、福岡県の“ルイスガレージ”と二人三脚で製作したチューンドスペックだ。
ちなみに、福島県に店舗を構えるルイスガレージはアメ車に特化したショップだ。“餅は餅屋”という言葉の通り、メカニカルパートに関しては同県の名門“パワーマスターいちかわ”に協力を依頼。最強タッグでのメイキングがスタートしたのである。
心臓部は、本来のG7型(直6/1988cc)からチューニング適合度が高いL28型へとスイッチ。腰下にはASWのムービングパーツで排気量を3.1Lまでスープアップし、圧縮比も11.7までハイコンプ化してワコー75Rカムをセット。スロットルは50φで、マネージメントはハルテックのエリート750が担う。最高出力は300ps弱だ。ミッションにはS15シルビアの純正6速を組み合わせる。
そうして高めたパワーを安定発揮させるべく、弱点である点火系も徹底改良。デスビを廃してRB26DETTのクランク角センサーを備え、コイル類も同じくRB20用を使ってダイレクトイグニッション化を敢行。これにより、トラブルの根を絶つことができただけでなく、フィーリングも大きく向上させることに成功した。
ベルトも信頼性の高いリブスターベルトに変更している。
エキゾースト環境は、パワーマスターいちかわによるワンオフメイド。アイドリングはやや粗々しく、高回転では綺麗に整うチューンドロータリーのような快感サウンドを目指したそうだ。
アップデート作業は足回りにも及んだ。エンジンルーム内のストラットタワーと、バルクヘッドの下半分からフロア後方にかけてはS15シルビアを移植。これに伴って、サスペンション形式もフロントは純正のダブルウィッシュボーン式からストラット式へとチェンジ。
本来、リジッド式であるリヤサスも、S13シルビア用のサスメンバー等を使ってマルチリンク式の独立懸架に変更された。
ブレーキ系はマスターシリンダーなども含めてシルビア用にアップデートされ、前後ベンチレーテッドディスク、フロントは4ポッドキャリパーへとアップデート済みだ。
足回りのシルビア化に合わせて、ボディは大胆なブリスターフェンダーが覆うレーシングシルエットへとリメイク。フェンダーデザインはオールドBMWのレーシングカーを参考にしたそうだが、マッチングは完璧だ。なお、フェンダーの拡幅は片側10cmで、車幅は1710mm(1495mm)に達している。
インテリアも旧車とは思えないほど現代的な快適装備が満載だ。エアコンは国産の軽自動車用コンプレッサーを流用し、さらに汎用のパワーウインドウやディスプレイオーディオ、スマホ用非接触式チャージャーなども装備している。
さらに快適性を徹底追及し、ステアリングシャフトを改造して電動パワステを装着。電動タイプは省スペース設計で油圧タイプに比べてパワーロスも最低限だ。
旧車らしい荒々しさを残しつつ、トラブルフリーの走行性能を手にしたプリンススカイラインS54A。魅力的にもほどがある!
●取材協力:ルイスガレージ 福岡県筑紫野市原265-4 TEL:0924029111/パワーマスターいちかわ 福岡県大野城市御笠川4-3-16 TEL:092-504-0177