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FD3Sにマーチライトの意外性で魅せる
このFD3Sは、2007年にBURN OUTブランドで知られるKSオートが発表したカスタムチューンドだ。GT路線一辺倒だったFD3Sチューニングシーンに一石を投じた衝撃作、とくとご覧あれ!(OPTION2誌2007年4月号より抜粋)
大人のラグジュアリースポーツを演出!
国産スポーツカーの中古車販売から本格チューニングまで手がける愛知県のKSオート。オリジナルブランドの“BURN OUT(バーンアウト)”は、ラグジーテイスト溢れるエアロパーツやマフラーを展開中だ。
そんなKSオートが、“都会で映える大人のスポーツカー”をコンセプトに、高級感のあるスタイリングを目指して仕上げたRX-7がこちら。
見どころは、やはりK12型マーチのヘッドライトを移植してきた意外性。レーシーなFD3Sにキュートなマーチライトを組み込むなど想定外すぎるが、これが驚くほど違和感がないのだ。いや、ジャストフィットと言えるかもしれない。
製作の経緯は、後部が潰れた事故車のマーチが入庫してきたこと。「平らにセットしても前方を照射するマーチのヘッドライト形状は、FD3Sのボンネットに合うのでは? 何よりカッコ良さそう!」という思いが芽生え、移植作業に踏み切ったのだ。
しかし、思いつきをカタチにする作業は簡単ではなかった。FD3Sの美しいボディシルエットに馴染むよう、位置合わせを何度も繰り返しながら、フロントバンパー〜フェンダー〜ボンネットを完全にリデザイン。内部パートもコアサポート加工やステー製作など、想像以上の手間と時間が掛かったそうだ。
フェンダーは前後ともKSオートのオリジナルをインストール。ワイド幅は前後20mmで、リヤはオーバーフェンダーをパテ埋め処理してナチュラルなスタイリングを創出している。ホイールはVIP系に人気のクレンツェLXZで、サイズはフロント9.0J、リヤ10Jの19インチをセレクト。
外装にみならず、パワートレインにも手を入れているのがこのチューンドの特徴だ。一時はD1GPへの出場を睨んでいたこともありと、心臓部の13B-REWはサイドポート拡大+TO4Rタービンのコンビで400psオーバーを発揮。エンジン自体もバルクヘッド側に寄せてマウントすることで、よりシャープな挙動を手に入れている。
そしてエキゾースト環境。爆音はキャラクター設定にそぐわないと判断し、レイアウトからタイコ形状までフルオリジナルで構築。テールエンドも落ち着いたオーバル型とすることで、エンジンチューニングを一切感じさせない大人のビジュアルで仕上げた。
その他、灯火類のスムージング処理やリヤスポレス化など、エクステリアはシンプルなメイキングを徹底追求。ベース車両に貴重な純正サンルーフ付きをチョイスしている点も見逃せない。
大技だけではなく、そこに細かな技を組み合わせて完成度を高めたFD3Sベースのカスタムチューンド。流麗なスタイリングを活かして、ここまでリメイクできる技術と執念には感服するしかない。(OPTION2誌2007年4月号より抜粋)