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スーパーチャージャー仕様のFD3Sってメリットだらけ!?
FD3Sの弱点をカバーするロータリーチューンの新機軸
高回転までストレスなく吹け上がるフィーリングが持ち味のFD3S。その代償と言ってはなんだが、低速トルクの細さや熱問題などレシプロに比べて色々厄介な部分があるのも否めない。
そんなロータリーならではの弱点を克服することを目的に製作されたチューンドが、名チューナー前川氏率いるエスプリ作のGTスーパーチャージャー仕様だ。
軸となるスーパーチャージャーには550〜600ps対応のHKS GTS8550を採用。プーリーやベルト、テンショナー等の部品をワンオフ製作することで、本来ならタービンが収まるべき位置に違和感なくスーパーチャージャーをマウントする。
なお、HKSのGTスーパーチャージャーはコンプレッサー形状がタービン風のため、パッと見はシングルタービン仕様にも見えるのも面白い。ルーツ式の約半分というコンパクト設計だからこそ、違和感のない装着位置を実現できているわけだ。
クランク(エキセン)軸回転をいかにロスなくスーパーチャージャー側に伝えるかは、チューナーの腕の見せ所でもある。エスプリでは様々なサイズの試作プーリーをテストし、高回転までパワーの落ち込みがないよう味付けている。なお、ピーク時のスーパーチャージャー回転数は13万回転にもなるそうだ。
クランク軸(エキセントリックシャフト)の回転で駆動するスーパーチャージャーは、ターボ車と異なり熱害が少ないのも大きなメリット。以前のフルタービン仕様では水温90度/油温100度オーバーは当たり前だったのが、スーパーチャージャー化したことで80度前後で安定するようになったそうだ。
気になる出力は、F-CON Vプロ制御で最大ブースト圧1.0キロ時に400ps。オーナーもこのスーパーチャージャー仕様のフィーリングには大満足の様子で、「アクセルを踏んだ瞬間からトルクが立ち上がってくる感じで、街乗りがかなり楽になりましたよね。ターボラグがなくスムーズに吹け上がっていくので、アクセルを踏み込んだ時も怖くないし扱いやすい。グイグイ加速していく感覚は感動ものです」とコメント。
ちなみにこのFD3Sは、ドライカーボン製リヤゲートやGTウイングを装備する本格仕様だが、よくよく見ると痛車だったりする。キャラは、アニメ『まりあほりっく』のSHIDOU MARIYAだそうな。あらゆる意味で個性的に仕上げられたロータリーロケットなのである。
●取材協力:エスプリ 三重県鈴鹿市住吉3-19-1 TEL:0593-70-8080
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