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高回転型NAロータリーの魔力
オリジナルワイドフェンダーで305幅タイヤを飲み込む!
鮮やかなオレンジのボディカラーが眩しいこのRX-8は、京都の実力派チューナー“オートクラフト”が、サーキット走行を好むユーザーの指針となるようなスペックを目指して開発したチューンドだ。
心臓部の13B-MSPは、燃費やトルクを確保しながら、トップエンドでの伸びと出力が狙える仕様として、オグジュアリーとセカンダリーの各ポートにブリッジポートを追加。当初はサイドポート拡大加工での流入空気量拡大に挑んだが、削っていくほどに未燃焼ガスが増え、燃費やトルクが悪化してしまったため、必然的に現在のWブリッジに力を入れるようになったそうだ。
また、全ての回転域で開口しているプライマリーポートも様々なスペックを試した結果、単純に大きくすればパワーが上がるというわけではないことを確認。ポート内部の形状や角度を見直し、流速を調整。Wブリッジポートや各サイドポート加工との相乗効果によって、もっさりとした印象を払拭し、超高回転域でもストレスのない吹け上がりを手に入れている。
しかし、これほどにまで高回転化と高出力化が進むと、安定性を高めるためのタイヤ幅拡大やワイドトレッド化が不可欠となる。RX-8のチューニングシーンでは265サイズの装着がポピュラーになっているが、オートクラフトではヒートアップするハードチューンのニーズに応えるため、さらなるワイド化の可能性を模索。
そこで、定番の265/35-18と外径が近く、なおかつ大幅なワイド化が図れるリヤサイズとして注目したのが305/30-18。295幅でも良かったが、オートクラフトがサーキット走行時に好むクムホ・エクスタV700に設定がないこともあって、305幅で落ち着いた。
そして、305幅を収めるために採用した策がワイドボディキットの設計である。純正ナローボディ用のA.C.E+エアロキットにアタッチメントをプラスし、ワイドボディへのグレードアップするキットを開発。フロントのワイド幅は片側+30mmという設定だ。ちなみにフロントは275幅あたりでも履けないことはないが、ボディの加工が必要となるため、265サイズをインストールしている。
リヤは片側50mmワイドとなる。このフェンダーに収まるホイールはフロント同様のTE37SL2012リミテッド(F10.5J+25 R11.0J+18)だが、さらに20mmスペーサーを追加する余裕が残っている。駆動系はATSのカーボンLEDをリジッドでマウントし、ファイナルギヤには加速重視で4.777を組み込む。
足回りはアラゴスタベースの車高調を軸にセットアップ。レバー比の変化とハイグリップに対応するため、テストを重ねながら段階的にスプリングレートを引き上げ、現在はフロント14kg/mm、リヤ16kg/mmの設定。オリジナルの調整式ピロアームを活用したアライメントの適正化も進め、オートクラフト白髭代表も「アクセルオンで勢いよく蹴り出す武器になってくれるはず」と手応えを掴んでいるようだ。
一方、室内はあくまでもエレガンスにまとめるのがオートクラフトの流儀。各部を上品なホワイトの合皮で張り替え、オリジナルパーツで程良いアクセントが与えられる。ブリッドジータIII用シートカバーはオートクラフトのオリジナルだ。
走行性能のみならず美しさまでも追求したRX-8サーキット仕様。オーナーには参考になる部分が多いはずだ。
●取材協力:オートクラフト京都 京都府京田辺市大住大峯1-7 TEL:0774-64-6466
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