目次
オーナーの愛情がほとばしるFC3Cカリフォルニアノーズ!
日本で唯一のレーシングビート仕様カブリオレ
近年のネオヒストリックカー人気の高まりとともに、各地のイベントでも再び目にする機会が多くなってきたFC系サバンナRX-7。知っての通り、RX-7は初代のSA系からFD系まで3世代のモデルがあるが、約25年の歴史の中で唯一FC系にのみ設定されたのが、ロータリー生誕20年を記念して誕生したオープントップモデルのカブリオレ(FC3C)だ。
ここで紹介する浅野知康さんの愛車は、ただでさえレアな前期型FC3Cに米国レーシングビート製のフロントバンパーを装着した日本では唯一の存在だ。
オーナーの浅野さんがこのFC3Cを手に入れたのは今から35年前。当時はアウディ80に乗っていたが、ライトウェイトスポーツに乗ってみたいと思っていたところにオープンカーの新型RX-7が登場。ロータリーエンジンにも興味があったので、即オーダーを入れたという。
“カリフォルニアノーズ”と呼ばれるレーシングビート製のフロントバンパーは、1987年に同社がリリースしたFC3Cベースのコンプリートカスタムカー“カリフォルニアロードスター”用に開発されたもの。浅野さんはその存在を海外のクルマ雑誌で知り、「どうしてもこれが欲しい!」と当時の日本代理店へ輸入を依頼した。
特徴的なデザインは全長が50mm長くなるので構造変更の申請が必要となるが、当時は今と基準も異なっていたため手続きに半年もかかったそうだ。そんな理由もあってカリフォルニアノーズはあまり日本では売れず、現存しているのはこれだけ、世界でもアメリカで2台だけとか。
エンジンルームも35年経過とは思えない素晴らしいコンディション。チューニング内容はK&Nのエアクリーナーとラジエターをアルミタイプに変更している程度となっている。
「新車当時からメンテはERCにお願いしていますが、5年前に10万kmを越えたのを機に初のエンジンオーバーホールを行いました。ほぼノーマルのためか、トラブルの経験はほとんどありませんね」とのこと。
ディッシュデザインのホイールもレーシングビート製で、サイズはフロントが8.0J×17、リヤが9.0J×17。ホイールにあるLSRの文字は“LAND SPEED RECORD”の略で、1986年にFC3Sツインターボ仕様のマシンで世界記録樹立(238mph)を記念したモデルだ。こちらも超レアなもので、4本揃っているものは世界でもこれだけらしい。
レザータイプのインテリアもヤレや劣化は皆無。オリジナルから変更されているのはMOMOのステアリングとナビ追加くらいだ。
センターコンソールに装着されたデフィ製の3連メーターは、エアコンパネルとオーディオをワンオフステーで下側にオフセットして見やすい場所にセットしているのが拘りだ。
「アメリカのレーシングビートからも素晴らしいコンディションと褒めてもらいました。これからも大切に乗り続けていきたいですね」と締めくくってくれた浅野さん。まさに走る世界遺産(!?)と呼ぶに相応しい1台と言えるだろう。
PHOTO&TEXT:川崎英俊