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究極のSE3Pローフォルムを求めて足回りを大加工!
極低スタイルの追求はまさに執念の塊
まだ専用キットが存在しない時代に、他車種用のロケットバニー製ワイドボディキットを加工流用した極低RX-8の登場だ。
車両をプロデュースした“街角R★7丁目”は、切れ角アップナックルなどサスペンションパーツの製作販売が本業だが、代表の林さんは『全開で走れるシャコタン仕様』の第一人者として西日本で広く知られた存在だ。
そもそも、このRX-8の製作のきっかけは「好き嫌いが激しくドレスアップも難しい車両だけど、深リム&ワイドボディのローダウンスタイルにすればビシっと決まる!!」と閃いたから。
思い立ったら吉日。林さんは中古車を入手して構想の実現に動き出した。アフターエアロ業界を席巻しているロケットバニーのワークスフェンダー(この時点でRX-8用は存在していなかった)を組み合わせれば、この上ないスタイルに仕上げることができると確信があったのである。
とはいえ、この極限の低車高でフェンダーをマッチングし、走れるメカニズムを確立するにはフェンダー内部やサスペンションなど、ボディに関しても多くの加工が必要だ。
その構想の具現化に一役買ったのが、仲間であり同じ地元にあるボディショップの“HSスタイル”。まずは車両とホイール、そしてシルビア用のブリスターフェンダーをHSスタイルに持ち込んで、マッチングとボディ加工の必要箇所を割り出す作業から開始。
当初は、時代に合わせた大径ホイールのセットアップも検討したが「なんか普通…?」ということになり、ホイールは16インチのSSRフォーミュラメッシュをリバレル(F9.0J-45 R10J-50)し、引っ張りタイヤ(F205/50-16 R225/50-16)の組み合わせに変更。
また、車高を極限まで落とすためにワークスフェンダーは装着できる中で一番高い位置を基準とし、ボディとパーツ両方を大きく加工してフィッティング。その際、フロントはノーマルフェンダーにある独特のアーチを無くし、シャープなデザインへとリメイク。後方からタイヤのトレッド面がよく見えるよう、フェンダーエンド部を絞り込んで造形しているのもポイントだ。
フロント同様にリヤも限界の位置でフェンダーをセットし、リヤタイヤのトレッドパターンをアピールするためにバンパー両端をナロー化している。
リヤアンダーはノーマルのシボを取った鏡面仕上げだ。また、純正のネット風樹脂パーツも切り落とし、本物のグリルネットを入れ込むなど細部のフィニッシュも徹底追求。マフラーもワンオフ、シンプルな左右出しだがエンド長のセットには拘ったそう。
フロントセクションも、ワークスフェンダーをマッチさせるために取り付け部などをフル加工。リップは純正オプションで、フロントディフューザーにはスピリット玲の神風を合わせている。
足回りも徹底的に手を入れた。サーキットを本気で走れるサスセットにするため、326パワーのチャクリキダンパーをベースに、自由長や減衰力、スプリングレートまで見直し、車体側もアッパーアームの短縮加工やストラットの角度調整など…、分解と加工を30回以上繰り返したそうだ。
足回りを覗くと大手術の痕が確認できる。「もう本当に死ぬほど大変でしたよ。執念で辻褄を合わせてます…」と林さん。
こうして完成した地を這うRX-8。何より驚かされたのは、撮影現場まで自走でやってきたこと。実は、あまりのワイド&ローさに積載車に積むことができなくなったのだとか。林さんの執念には感服だ。