目次
オーナーの自覚を改めさせるほどの完成度
20年越しの信頼関係
「フェニックスパワーに行ったのは20年ぶりのことでした」。現在から数えると24年前、大学生だったオーナーが初めて福井県の名門ショップを訪れた目的は、ブーストアップを依頼するため。当時大流行してしたポン付けROMを組み込む、いわゆるお手軽コースメニューだ。
「2ドアはダメという親の反対を押し切ってまで買ったスープラだし、ストリートを走る仲間も多くてもっとクルマを速くしたいと。タービン交換にも憧れはありましたけど、学生なので手の届く範囲でまずは手頃なブーストアップというつもりでした」。
大学を卒業し、地元の岐阜県で社会人となったオーナーは、仕事に没頭する。次第にチューニングへの興味も薄れていき、「通勤は徒歩だから、休みの日の気が向いた時にだけ乗るようなイメージ。バッテリー上がりも定番でしたね」と、当時を振り返る。
そうしたチューニングと無縁の生活に変化が生まれたのは今から3年前の事。経年劣化からのトラブルが原因だった。
「ラジエターが壊れて乗れなくなったんです。近くのクルマ屋に修理を依頼したのですが、スープラだからと断られまして。そこでふと思ったんです。ブーストアップしてから20年間、エンジン系トラブルが全く無かったな…って」。
トップチューナーの技術力と信頼性の高さを再確認したオーナーは、20年ぶりにフェニックスパワーの門を叩いた。そこから先は、まさに眠れる獅子が目を覚ましたかのような展開だ。あらゆるパートに手を入れ、当時はできなかったタービン交換も敢行。自分の理想とするスープラに仕上げていったのだ。
エンジンは、10万kmノンオーバーホールのままT78-29Dタービン+HKSハイカム(264度)を組み込んだ620ps仕様。街乗りオンリーの用途だが、排気量のおかげで下からのトルクもあって十分。ただ、クラッチはカーボン製ツインプレートで比較的半クラ領域は広いものの慣れるまで苦労したとか。
エアロパーツは、リドックス(フロントバンパー)、マックスレーシング(サイドステップ)、トップシークレット(ディフューザー)をミックス。雑誌などの写真を見て組み合わせを想像し、2年前のオールペン時にまとめて揃えた。GTウイングはGT選手権時代のスープラに憧れて付けたいと決めていたサード製をチョイスしている。
ウォッシャーノズルは修理ついでに霧状に噴霧するセルシオ製を流用。アンテナは純正の伸縮タイプだとウイングに干渉するため、長さが固定式でルックスも良いS2000用をスマートに流用している。
ホイールは19インチのBBS RI-D(F9.0J+42 R10J+33)。白いボディにダイヤモンドシルバーは珍しいカラーで、注文時に再確認されたとか。ブレーキキャリパーは前後大径のブレンボへ。車高調はアラゴスタ製で、車内から車高が調整できるようアラゴスタカップを追加している。
シンプルにまとめられた室内。コンソール上には、ワイルドスピードの1作目に登場したスープラに憧れて同じカラーリングを選んだというオートメーター製のタコメーターを設置。実はダイエットのきっかけになったのも、主演のポール・ウォーカーに憧れてのことだった。
内張りは張り替え、シートやカロのフロアマットまでも白と黒に統一されてコントラストが映えるインテリア。きっかけはフェニックスパワーでこのクリーム色のレカロのシートが展示品として安く購入できたからだそうだ。
トランクは運転席の雰囲気とマッチするように贅沢にワンオフのカスタムオーディオが鎮座。アンプはイタリアのシンフォニ/クワトロリゴ、サブウーファーはドイツのブラックスブランド製25cm。この下にはアラゴスタカップを動かすためのタンクが収まっている。
オーナーにとって、このスープラは“乗っている自分も成長させてくれるクルマ”だという。「一時、体重が125kgあったんです。趣味の飲み会の暴飲暴食が原因。でも、スープラをこの仕様にしてからは“自分がこのクルマに相応しい男にならなきゃ!”という自覚が芽生えて。必死にダイエットして、85kgまで減量しました(笑)」。
次のチューニングプランを考えることが、その費用を捻出する仕事への励みにもなる。その好循環をもたらすこのスープラは、もはやオーナーの生活に欠かせない一部になっているのだ。
●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
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