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貨物自動車登録のJZA90改マークIIトラックに迫る
3ナンバー車両を1ナンバー登録!
正面から見るとJZX90マークIIなのに、後ろ姿は国籍不明のピックアップトラック。そんなお茶目な (!?)カスタムカーを作ったのは、栃木県の自動車整備工場“石井自動車”だ。仕事が終わった後にコツコツと作業を続け、約半年をかけてこのマークIIトラックを完成させたのだ。
製作過程をザッと紹介しておくと、Bピラーから後ろのボディ上部をバッサリ切り落として鉄板で荷台を製作。さらに運転席と荷台の仕切にアルトのハッチ部分を溶接するなど、かなり過激なモディファイが敢行されている。鉄板補強やロールバーの追加により、ボディ剛性をシッカリと確保している点も見逃せない。
トラック化するにあたり、燃料タンクが邪魔になるため車体後方に移動。位置は保安基準の規定内(最後端部から65mm離すこと〜など)で決定したそうだ。
エンジンは1JZ-GTEのブーストアップ仕様で300psを発生させるスペック。トラックとして考えるなら十分すぎるパフォーマンスと言えるだろう。
テールは、純正リヤバンパーにタウンボックス用のテールランプをインストール。ちなみに、荷台の開口部はシビック用を流用して製作したそうだ。
また、マークIIらしさを損ねない自然なスタイルに仕上げるため、リヤフェンダー下部はそのまま流用。そのプレスラインに合わせてボディをカットしていったそうだ。荷台との仕切り部分に角度を付けて、荷台の部分が長いロングトラック風に見せているのも拘りだ。
とはいえ、このままでは完全なる非合法車両。暴走族の正月元旦仕様となんら変わらない。というのも、保安基準では“モノコックボディはフレームの一部”とみなされるため、大幅な加工は認められないのだ。合法化するには、何らかの形でモノコックの強度が保たれていることを証明し、強度検討書を添付して改造申請する必要がある。
完全合法を目指した石井自動車は、日本自動車大学校(NATS)でひずみ試験を実施して強度検討書を作成。そうした必要書類を添付して構造変更申請を行ったというわけだ。
同時に、貨物自動車としての登録の必要項目である、1.荷台面積が1m2以上(軽自動車は0.6m2以上)/2.乗車スペースより荷台スペースのほうが大きい/3.乗車スペースと荷台に隔壁や仕切りがある…、などの諸条件もパス。見事に1ナンバー化に成功し、貨物自動車登録のJZA90改マークIIトラックが完成したのだ。
●取材協力:石井自動車 栃木県那須鳥山市下境2259-1 TEL:0287-84-0583