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ドライサンプ+4連スロットルで1万rpmオーバーの領域に踏み込む
アンダーフロアまで完璧に作り込まれた空力チューンにも注目
ブラック×カーボンのエクステリアが只者ならぬ雰囲気を醸すS2000。老舗チューナー“トップフューエル”が製作したユーザーカーなのだが、各部のチューニングは完全にデモカーレベル、装着パーツのひとつひとつにオーナーの拘りが感じられる超クオリティだ。
心臓部のF20Aユニットは、目標1万rpmオーバーを掲げて徹底チューニングを敢行。腰下にはオリジナル鍛造ピストンと戸田レーシングのI断面コンロッド、純正加工クランクを投入して強化。高回転型を狙ってストローク量は純正のままだ。ヘッドはハイカムを投入し、燃焼室加工やポート研磨などくまなく手が入る。
重要な吸気系には、戸田レーシングの4連スロットルをドッキング。スロットル径は50φ×4だが、ファンネル剥き出しでは理想的な吸気効率を得られないどころか熱害の問題が出るため、同じく戸田レーシングのスーパーサージタンクを組み合わせ、フレッシュエアを4スロに効率よく導けるようにしている。
一方の排気系は、4-2-1の等長EXマニからスポーツ触媒を経てR1チタンエクストラマフラーに繋がる完全合法の環境を整えている。
また、超高回転化を達成するためにはウエットサンプのオイル供給では油圧の安定化が難しいと判断し、ドライサンプに変更。そのため、ドライサンプ用のスカベンジポンプとオイルタンクなどメカニカルな装備が搭載されている。これにより、オイル容量は8.0Lまで増える。オイルパンはマグネシウム製だ。こうしたチューニングの積み重ねで、1万1000rpmまでストレスなく回る実測280psのレーシングスペックが完成した。
ミッションは純正だが、オイル容量を増やすためにフロア下にはミッションオイル増量サブタンクを設置。電磁ポンプを使用し、ミッションオイルを循環しつつ下部のフィンで冷却も行っている。
足回りはクァンタムの別タンク式車高調を軸に構築。アーム類はイケヤフォーミュラの調整式をフル投入し、ブッシュも全てピロに変更済みだ。ブレーキはapのレース用4ポットキャリパーが組み込まれる。ハイエンドパーツのオンパレードだ。
外装は、アミューズコーポレーションのS2000GT-1ボディキットをセット。その他、ASMのドライカーボンドアパネルやボルテックスのGTウイング、クラフトスクエアのミラーなどを組み合わせる。
空力を追求して前後のフロア下にはアンダーパネルをセット。さらに、センターセクションにもアルミワンオフのフラットボトムを装備する。
室内のメイキングも凄まじい。ダッシュボードは軽量なカーボン製に交換。これはトップフューエルのレース用部品だが、エアコンやデフロスター吹き出し口を装着するための加工がなされている。メーターは1万1000rpmを表示するため、AIM製ダッシュロガーを組み込む。オープンボディの剛性不足はロールケージで補っている。
ブレーキキャリパーの変更によって純正サイドブレーキは機能しなくなるため、別ラインで油圧式サイドブレーキを導入している。
各部にハイエンドパーツを奢り、レーシングカー顔負けのスペックを誇るS2000。ストリート仕様としては究極系と言えるだろう。
●取材協力:トップフューエル 三重県松阪市中道町500-1 TEL:0598-56-5880
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