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廉価版のStからハイエンドのKWまで展開!
多彩な走行シーンに合わせたセッティングが可能
世界最高峰のサスペンションメーカーとして知られる“KW(ケーダブリュー)”。その実力の高さは、ニュルブリクリンク24時間やDTMなど世界の名レースでの数え切れない栄冠の他、メルセデスを始めとするプレミアムモデルへの採用実績が証明だ。
アフターマーケット向けのオリジナルサスペンションキットについては、どちらかと言うと輸入車用のイメージが強いが、近年は国産車用のラインナップも拡充。もちろんその中には、初代NAから現行ND系までのロードスター用もしっかりと含まれている。
KWのサスペンションを語る上で、まず注目したいのが独自のバルブシステム。一般的なダンパーがロッドに装着されたピストンのシムバルブで伸び、縮みの減衰力を発生させているのに対し、KWでは伸び側をロッド側、縮み側をベースバルブ側でと完全に役割を独立させているのだ。
ロードスター用を始め、多くの車種用で採用されるツインチューブ構造とこのバルブシステムにより、低速域はツインチューブならではのしなやかさ、高速域はモノチューブのレーシングスペックダンパーに匹敵する性能の両立を実現させたわけだ。
この他、長期に渡り性能を維持するための高い耐久性もKWの拘りで、ダンパーのケースには圧倒的な耐腐食性を誇る高品質ステンレスを採用。スプリングシートも、ステンレスに樹脂をコーティングして固着を防ぐ設計としている。
今回の取材の舞台となった“スピリット”のND5デモカーに装着されているのは、KWのレーシングモデルとなるV3 Racing(フルオーダー:価格応談)。
RE-71RSやSタイヤクラスのハイグリップでの本格的なサーキット走行をターゲットとしたフルオーダーモデルで、伸圧独立の2ウェイ減衰力調整式。ストリートラジアルでのサーキット走行には、ストリートまでカバーするV3 Clubsportもお勧めだ。
V3シリーズのダンパーは伸び側16段、縮み側12段の減衰力2ウェイ調整式なので、アッパー側とロア側のそれぞれに調整ダイヤルを装備。1クリックで変化を確実に体感できるのもKWならではの特徴だ。
KWのサスペンションキットは、欧州のTUV規格に合わせてネジ式の車高調整方式を採用。全長調整式に対して高い安全性とストローク量を確保できるのがネジ式の利点だ。性能を求めて、ロアブラケットも独自の設計としている。
ピロボール式のアッパーマウントは、ND用のV3 Clubsportに標準装備。レーシングモデルはレース参戦車両に装着する際のレギュレーション等も考慮し、あえてオプション設定となっている。
1G状態とリフトアップ時のフェンダークリアランスを比較してみると、ストローク量の多さに驚くはず。これが、ストリートでのしなやかな追従性とスポーツ走行時のトラクション性能を生み出しているわけだ。
そして、スピリットのドリフト仕様(NB8改)に装着されているのが、廉価版という位置付けであるStブランドのXA(21万6700円)。
スポーティで快適なストリートモデルとしての設定だが、KW譲りのハイパフォーマンスはドリフト時のコントロール性も抜群。伸び側の16段調整は減衰力の変化幅が大きく設定されていて、路面状況や速度域に合わせたセッティングが可能だ。
KWとStのラインナップの中から、どれを選ぶかは悩ましいところだが「ストリートからスポーツ走行なら伸び側調整式のStのXAがお勧めで、ND用はピロアッパーも付属のXTAとなります。本格的にサーキットを走るならKWのV3レーシング。フルオーダーとなりますが、KWならではのハイパフォーマンスが確実に体感してもらえるはずです」と、テクニカルアドバイザーの天野さんはアドバイスしてくれた。
ちなみに、今回取材に協力してもらったスピリットは中古車販売から整備、カスタムまでお任せのロードスタースペシャリスト。各種モータースポーツの経験も豊富で、オーナーの希望に合わせたKWとStのサスペンション選びをサポートしてくれる。NA/NB用のドリフト用ナックル(7万7000円)や全型式対応のシフトノブ(6600円)などのオリジナルパーツもラインナップしているので、気になるユーザーは問い合わせていただきたい。
●問い合わせ:KWオートモーティブジャパン TEL:075-771-7351/取材協力:スピリット 埼玉県比企郡川島町山ケ谷戸652-2 TEL:049-298-7938
【関連リンク】
KWオートモーティブジャパン
http://www.kwsuspensions.jp/
スピリット
https://www.spirit.saitama.jp/