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タウンユースも問題ナシのUS極低スポーツスタイル
乗り心地とルックスのバランスを狙うセットアップ
USメイクを得意とする岡山県のカスタムショップ“ザ・スティーズ”が製作したJZA80は、街乗りが可能な範囲でとにかく「低くカッコ良く」を追求した1台。元々は代表の佐藤さんの愛車だったが、このスタイリングに惚れ込んだ現オーナーに譲った後も、引き続きメンテとメイクを担当している。
オーナーが目指したのは、走り屋系サーキットメイクとの差別化を図ったUSスタイル。ウイングやワイパーのレス化をはじめ、各部のスムージングを施し、スッキリとしたシンプルメイクを推進する。
大胆なネガティブキャンバー角は、19インチのワイドリムをツライチ装着するためのツールと割り切ったもの。ただし、純正ゴムブッシュのままではヨレやたわみが発生して干渉してしまうので、イケヤフォーミュラのピロアッパーアームによってブッシュのたわみを払拭し、なおかつキャンバーの調整幅を拡大している。
ネガティブキャンバー角の設定値はフロントが5度30分、リヤが6度30分。かなり攻めた数値だが、これはフェンダーとタイヤのバランス(出幅やクリアランスなど)を徹底追求して導き出した絶対値に他ならない。
超低車高での日常ユースを可能にするため、車高調にはザ・スティーズ『ドロップキット』を投入。スプリングはフロント25kg/mm、リヤ20kg/mmというハイレート仕様で、自由長の短いスプリングで姿勢を保つ。ケース長もフロントは90mmしかなかったりするのだが、リヤはある程度動かして乗り心地を確保するため120mmに設定。
また、ハイレートに対応し、かつ乗り心地も維持する減衰特性としては「沈み込みがマイルドで、伸びをハードに」というのが基本。ピストン、シム、オイルなどのチョイスによって理想の減衰を生み出している。
その他、ストリートでの走行を想定してシャコタン対策も徹底。エキゾースト環境は、排気効率よりもロードクリアランスの確保を優先し、マフラーのメインパイプは細めの50φをチョイス。それでも、低車高を追求していくとリヤメンバーの一部が干渉することが分かり、ハンマーで叩きまくってクリアランスを確保した。
タイヤハウスにも苦労の跡がうかがえる。フロント10J、リヤ11Jのワークエクイップでも問題なくステアリングを全切りできるよう、タイヤは225/35-19を引っ張り装着した上、インナーフェンダーは熱を加えて押し上げる、いわゆる“炙り上げ”を敢行。
タイヤハウス内のボディ側もトラブル回避のためにハンマリングを敢行。フェンダーのアウターパネルはノーマルだが、フロントはツメ折り、リヤはツメをカットしてスポット溶接を行い、リペイントした。
なお「低ければ低いほど良いけど、バランスも大切」というのがオーナーの美学。フェンダーを完全に被らせずに絶妙にクリアランスを残し、真上から見て、わずかにリムエンドがハミ出すくらいをベターとしている。
「こんな車高でも意外に普通に走れるんですが、コンビニやファミレスの段差でちょっと油断すると危ないですね。フロア下が接触して“カメ”状態になることもあります…。ガリガリに擦っちゃうし空転しちゃうしで、段差や路面のうねりは要注意です!」とオーナー。
どんなことがあろうとも、信念を曲げずにJZA80シャコタン道を追求しつづけるオーナーの心意気には感服だ。(OPTION誌2012年8月号より抜粋)
●取材協力:ザ・スティーズ 岡山県倉敷市粒江2079-1 TEL:086-441-0492
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ザ・スティーズ
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