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スタートから差をつけるならワイドボディに着手すべし
定番モデルだからこそ、カスタムを楽しめ!
今最も勢いのあるショップの一つと言える群馬県伊勢崎市の“ムーンテック”。お客さんから製作を一任されたというGR86は、まさにムーンテック流GR86メイクのフルコンボといった印象だ。
「GR86のファーストステップとしてお勧めしたいのが、実はワイドボディなんです」。ムーンテック代表の田口さんの口から飛び出た言葉に、初手からワイドボディ!? と驚いてしまったが、その真意はかなり先を見据えたものだった。
「現状で200万円のカスタム費用を掛けて、ひとまず満足のいく内容に仕上がるベースって、GR86/BRZ以外だとZ33かE36くらいしか思いつきません。どのみち新車で買えるのはGR86/BRZだけで、今後5年くらいは両者がカスタムシーンの主力になっていくと思います。でも、新車ってスタートラインは皆同じですから、やっぱり内容が被る。せっかくお金を掛けて他人と一緒じゃつまらないですから、長く楽しむためにワイドボディをお勧めしたいんです」。
そんな想いもあって導入したのが、アメリカに拠点を置くエアロメーカー『ADRO(エイドロ)』のワイドボディキット。大開口のバンパーや前後それぞれ5インチと6インチの出面を実現するワイドフェンダーは、確かに他との違いを一発で演出できるアイテムだ。
ただ、ワイドボディを取り入れるとなると、必然的に足回りとホイールもセットで考える必要が出てくる。その点においても豊富な選択肢を提案できるのがムーンテックの強みだ。「もちろん車高調でもいいんですが、バンパーに厚みが出るとしっかり落とし切らないとカッコ良くなりません。ワイドボディのGR86には、やっぱりエアサスが最適だと思います」。
GR86に使用した『Ploom(プルーム)』のエアサスペンションは、32段階の減衰力調整が可能な全長調整式ダンパーにエアバッグを装備。
このGR86には縮み側の高速/低速も個別に設定できる3ウェイを採用し、ムーンテックのフルアームと組み合わせることで理想的なローダウンと乗り味を両立させている。ブレーキは純正オプションのブレンボをカラーチェンジして装備する。
そして、ホイールは『NEUTRALE(ニュートレイル)』の鍛造削り出し18インチを装着。それだけはオーナーからのリクエストで、以前ムーンテックで製作したフェラーリ488GTBと同じ純正オマージュの『SCD』というモデルだ。
欲しいデザインとサイズを削り出しで得るのは、ある意味究極的なメニュー。一方で「緻密なオフセットが設定されているワークのようなメーカーから選択するのももちろんあり。ただし、他との違いを意識するならタイヤの銘柄にも拘りたいですね」と田口さんは言う。
FA24エンジンにはトラストのT620Zターボキットとターボキット用パフォーマンスECUを取り付け、パフォーマンスアップも実現。さらに、ムーンテックがオリジナルで展開する純正バンパー対応のステンレスマフラーも装着し、リモコンで開閉できるバルブコントロールも実現させた。「スーパースポーツの純正マフラーみたいに音量調節できて楽しいですよ(笑)」。
このGR86は「何をやってもOK」というビルダー冥利に尽きるオーダーあってこそ誕生したが、一つ一つのパートは参考になることばかり。内装のフルカスタムも田口さん的にはオススメ度の高いメニューだそうだ。
ムーンテックでは、大手生地メーカーに依頼して既成の設定にはないオレンジが強いキャメルのような色味のウルトラスエードを1ロット(クルマ約3台分)オーダー。インパネやステアリングはもちろん、ピラー、ルーフ、サンバイザーなどを張り替え。シートはレカロRS-Gをベースにしたウルトラスエードの2色使い。さらに、オクヤマのロールケージも継ぎ目なく覆い、カスタムカーならではの色気が醸し出す。
「クルマがある程度完成して数年経つと、またイチから作り直す方もいると思うんですが、それにお金を掛けるくらいならオリジナリティのあるインテリアって満足度が高いと思うんです」。
もちろん、内装をおしゃれに飾っても走りが変わるわけではないが、ドライバーの高揚感には大きく影響するもの。GR86/BRZの可能性を広げる一つの手段として、ぜひ記憶に留めておきたい。
Photo:Akio HIRANO Text:Hideo KOBAYASHI
●取材協力:MOONTECH 群馬県伊勢崎市境下武士1516−1 TEL:0270-61-7495
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