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湾岸仕様としての純度を高め続ける貴婦人
全盛期の湾岸を駆け抜け、OPTION誌の最高速企画では328キロという記録マーク。レヴォルフェS.A.の名を全国区に伸し上げる原動力となった白銀のZ32。その姿に憧れ、同じベース車両で走り続ける男の愛機が今回の主役だ。(OPTION誌2012年10月号より抜粋)
溝田Zへの憧れが全ての原動力!?
日本最大規模の最高速ステージとして走り屋を魅了し続ける“首都高・湾岸線”。数多くの伝説を生み出したその場所は華やかな都会にありながら、どこかセピア色の雰囲気が漂う独特な空間と言える。このZ32は、そんな湾岸をただ速く走るためにチューニングが進められている発展途上の1台だ。
「湾岸を攻めるには、信頼できて心の底から好きなクルマでなければ不可能です。そこで私は、心底ノーマルのスタイリングに惚れ込んでいるZ32を相棒に選びました」。
そう語るオーナーの拘りは凄まじく、最高速仕様でありながら大型ウイングやブリスターフェンダー等のエアロパーツは一切装着していない。
また、内装も同様に乗員保護を目的としたロールケージと4点式シートベルト、そしてワンオフのカーボンパネルでスッキリとまとめた追加メーターを装備するのみと、Z32本来の姿態を崩さないカスタマイズを心掛けている。
「もちろん、エアロが効果的なのは分かります。しかし、それは私の中でZ32のスタイルでは無くなってしまう。インテリアも同じです。ドンガラにすれば軽量化にもなるし、ボディ剛性も確保しやすい。でも、それだとお世辞にも“貴婦人”とは言えない。最高速を求めつつ、どこまでも“Z32であること”を追求していきたいんです」と、オーナーの言葉にはZ32に対する想いで溢れている。
エクステリアにおいて、大きな存在感を放っているのがドライカーボンルーフだ。もちろんZ32の、しかも2シーター用のドライカーボンルーフなど存在しない。しかし、オーナーは高速スラローム時に必要不可欠となる低重心化を図りたい一心で、ドライカーボンルーフをワンオフ製作したのである。
そんな拘り抜かれたZ32のマシンメイクを手掛け、また、ドライカーボンルーフの製作も行ったのが、フェアレディZおよび最高速チューンを得意とする“レヴォルフェS.A.”だ。ちなみに、ショップ創設者の溝田さんもチューンドZ32を所有しており、オーナーはそのZ32に強い憧れを抱いているという。
「溝田さんのZは私の目標です。私が今のZを探した時の条件が2シーターでノーマルルーフ、MTにターボというものだったのですが、半年以上かけてやっと見つけたのが溝田さんと同じ年式でカラーもシルバー。もう運命ですよね(笑) 溝田さんのZ32に関する知識を参考にせずにはいられませんでした。最も、あの人は遥か前方を走っているわけですが…」。
これまでは外装を中心にカスタムしてきたオーナーだが、いよいよ本格的なパワーチューニングが開始される。仕様としては3.1L化を軸に、500psから600psを目標に鍛え上げる予定だ。そのためのピストンやコンロッドなどはすでに手元に揃った。オーナーが夢見る“ノーマルスタイリングを維持したZ32最高速仕様”が産声を上げる日は近い。