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駆動系にトラブルを抱えながらも13秒台をマーク!
610ブルバンに拘るオーナーの愛機
旧車の世界では、レストア時に現代の技術を投入してアップデートする“レストモッド”と呼ばれる手法が広がりつつあるが、今回紹介するV610型ブルーバードバンは、まさにその方向性で仕上げられた一台だ。
エンジンは4気筒のL16型をベースに排気量を2.0Lまで拡大しつつ、燃料系のインジェクション化や点火系のダイレクトイグニッション化によって万能性&快適性を大幅に引き上げている。
中核を成す“頭脳”と呼べるコンピュータは、フルコンの代名詞であるモーテックm800が担当。燃調、点火時期の他、燃料ポンプの稼働率などもフルコントロールする。
基本はドラッグレース仕様だが、公道もストレスなく走れるようにと、室内にはレースガス専用と市販ハイオク専用という2系統の安全タンク&フューエルラインを設置。切り替えはシンプルな手動のボールバルブが担う。
インテリアは純正の雰囲気を残しつつ、レースに必要な追加メーターやシフトライトを美しくインストール。ミッションはOS技研の7速シーケンシャルドグが投入されている。
足回りは、純正のリーフスプリングを残しつつコイルオーバーを追加。ノーマルのドライブシャフトはハイグリップタイヤの負荷に耐えられず捻じ切れてしまうため、駆動系にはY30のVG系モデルに採用されるホーシングを移植。デフとプロペラシャフトはR32用を使う。
タイヤはフロントがヨコハマアドバンA050(185/55-15)で、リヤがフージャーのドラッグラジアル(225/50-15)という組み合わせ。なお、リヤに関してはナローボディ仕様ではレースタイヤを収めることは難しいため、ホーシングを片側80mmカットして内側に押し込んでいる。
取材時(スーパードラッグフェスティバルWEST)は、駆動系トラブルが発生して本調子ではなかったこともあり13秒461でフィニッシュ。専用パーツが少ない610ブルバンに拘り続けるオーナーが目指すのは12秒切り。異色の仕様ではあるが、存在感は十分。今後のさらなる活躍に期待したい。