目次
2.8L化とVカム装着で圧倒的な低中速トルク!
OS-88ミッションでパワーバンドを有効活用
冷却性能向上のために開口部を追加したフロントバンパーやダクト付きボンネット、ハイマウントリヤウイングなどがサーキット仕様であることを主張するBNR32。そのマシンメイクを手掛けたのは、耐久性抜群のパワー系チューンを得意とする“ガレージ八幡”だ。
「オーナーは元々Z33でサーキットを走っとったけど、速くないVQエンジンに飽きてBNR32に乗り替えたんよ。始めはGT2530仕様やったけどタービンブロー。そこでタービンをT78にして、レスポンスが欲しいから2.8LにしてVカムも入れて…なんてやっとったら、結局フルチューンになっちゃったよね」と、森田さんが笑いながら話す。
心臓部は、HKSのキャパシティアップグレードキットで2.8L化。低中速域のトルク特性を考えてカムはIN、EX共に264度をセレクトし、IN側にはHKS Vカムシステムを投入する。また、点火系にはガレージ八幡オリジナルトランジスタを装着。「ブースト圧を1.7キロ以上掛けるなら必須のパーツ。燃調が濃い目でもきっちり燃焼するからトルクを出せるよ」と森田さん。
排気量アップとVカム効果によって低中速域のトルクが格段に向上。ロングストローク化によって高回転域の伸びは確かに鈍くなるが、トルクがあれば無理にエンジンを回す必要はない。それがエンジンの負荷を軽減して結果的に耐久性も高める…という好循環を生み出しているのだ。
鈴鹿サーキットをホームコースとし、オーナードライブでのベストタイムが2分22秒台というBNR32は最大ブースト圧を1.8キロとした750ps仕様。サーキット走行時の大きな前後&横Gに起因するエンジンオイルの供給不足は、シール付きベアリングを使ってストレーナーを可動式へと加工することで解消。Gによってオイルが偏るところにストレーナーも動くため、確実にオイルを吸ってくれるのだ。
また、T78シングルは以前のGT2530ツインに比べて高回転振りのパワー特性となり、純正5速MTではシフトアップ後にパワーバンドを外してしまいがち。そこで6速シーケンシャルドグのOS-88でクロス化を図りながら、エンジン回転が落ち込んだ時にタービンの立ち上がりをアシストする目的でNOSも追加される。縦長のコレクタータンクは内部に仕切り板を設け、レギュレーターで0.2キロほどの圧力をかけることでエア噛みを防止してくれる。
OS-88ミッションはオイル容量を増した改良型で、シフトフィールも改善されている。純正5速MTはシフトアップ時のエンジン回転数ドロップが最大3000rpmと大きくパワーバンドを外してしまうが、OS-88なら1800~2000rpmに抑えられるため、切れ目のない加速を実現する。
追加メーターはデフィ製。ステアリングコラム上にブースト計、センターコンソールに水温/油温/油圧計が並ぶ。ブースト計の左にはシフトインジケーターも装備。また、サイドブレーキ脇にはNOSのメインスイッチ、デフ&ミッションクーラーのポンプ作動スイッチが設けられる。
ホイール&タイヤはニスモLMGT4(10.5J+15)に、アドバンA050(295/30R18)という組み合わせ。ブレーキは前後R35純正キャリパーを流用。そこにフロント390φ、リヤ380φのディクセル製2ピースローターを組み合わせ、制動性能を向上させている。
トレッド拡大によるコーナリング性能アップを狙ってワイドボディ化。ステーを延長することでハイマウント化されたリヤウイングやフロントカナード、リヤディフューザーなどにより空力性能の改善も図られている。
「ナンバー付きでストリートも走るので、特に軽量化はしてません。実はフルチューンのR35でもサーキットを走っているのですが、1000ps以上あるのでコーナーでは思い切って踏めないんです。それでも、タイムを狙うならR35。ただし、面白さは間違いなくBNR32の方が上ですね」とオーナー。
もちろん、パワートレインだけでなく、足回りやブレーキも抜かりなし。そこには、自らBNR32デモカーのステアリングを握って鈴鹿アタックを行なう森田さんのノウハウが存分に注ぎ込まれているのだ。
●取材協力:ガレージ八幡 愛知県半田市上浜町10-20 TEL:0569-26-1660
【関連リンク】
ガレージ八幡
http://street-special.com/