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ハンディキャップを持つオーナーに寄り添うメイキングの数々
後期RS仕様の内外装にも注目!
スカイラインにラインナップされた最後の商用バンが1981年に登場した6代目、R30時代のエステート。
R30と言うと、FJ20E/ET搭載のRS/ターボRS系が人気だが、マニアの間ではエステートの注目度も高く、相当数のチューニングカーが存在していたりする。それも、フロントマスクをRS系の前期3本グリルや後期鉄仮面に変更し、エンジンもFJ20E/ETに載せ換えることで、エステートのRS/ターボRS化を図るイジリ方がメジャーだ。
「お客さんがウチに来た時、まさにその仕様だったんです。顔は鉄仮面、エンジンはFJ20ターボでしたからね。ただ、そのお客さんは下半身が不自由な方でMTに乗れない。そこでRB25DEとATに載せ換えられないか? と相談を受けたんです」とは製作を担当したグローバル永井さん。
本来エステートには直4エンジンが搭載されるが、それ以前にR30は直6のL20型やLD28型を載せられるように設計されているため、エンジン換装にあたってスペース的な問題はなし。選ばれたのはER34のパワートレイン、NEO6と呼ばれるRB25DEとマニュアルモード付き5速ATだった。それらの制御は、メインハーネスごと移植することでER34純正ECUが担当。ノーマルエンジンに対しては最も信頼のおける制御方法で、コストパフォーマンスにも優れる。
エンジンは基本ノーマルで、エアクリーナーがトラストエアインクスに交換される程度。RB25DEはR32の時代に登場したエンジンだけど、ECR33、ER34とモデルチェンジする度にエンジンの仕様も変わり、NEO6はクランクシャフトとコンロッドを除いて、それ以前のRB25とは互換性がないほどシリンダーヘッドの設計やパーツが一新された。
また、足回りはフロントの車高調を製作し、リジッド式となるリヤはショートスプリングに他車種用ダンパーを流用して程良くローダウン。フロントブレーキは、キャリパーをR32タイプM純正4ポットに交換することで制動力アップが図られる。
ダッシュボードからセンターコンソール、シート、ドアトリムに至るまで後期RS純正に交換された室内は、商用バンにありがちな安っぽさを完全に払拭。オーナーが左手でアクセル&ブレーキ操作をできるよう、手動の運転補助装置も取り付けられる。
メーターパネルは純正だが、スピード&タコメーターに代えてモニターを埋め込みHKS CAMP2で各種情報を表示。手前のデジタル式インジケーターはシフトポジション用で、バイク用を流用装着している。
ミッションもER34に搭載されたマニュアルモード付き5速ATに換装。Dレンジからセレクターレバーを左に倒し、前方に押し込んでシフトアップ、手前に引いてシフトダウンが行なえる。
黒を基調とした内装色は後期RSで採用されたもの。赤いストライプが入ったシートやドアトリムが特徴となる。
それらが移植された内装はRSそのもの。エステートの名残はリヤシートだけだ。
RS系の人気色、赤×黒の2トーンとされたボディ。サイドに貼られた『4VALVE DOHC RS-NEO6 STRAIGHT』というステッカーが洒落ている。ホイールは6.5Jプラス14.5のRSワタナベエイトスポーク。タイヤは195/60−15サイズのエコピアNH100を組み合わせている。
走行中はフロントの重さを常に意識させられるが、2.5Lの排気量から繰り出されるトルクは低速域でも十分で、シフトアップ後のエンジン回転落ちが少ない5速ATのおかげでキビキビと走ってくれる。
RS/ターボRS系を目指すのが大多数を占める中、GT系に寄せたR30エステート。RBがL型の後継機であるならば、これもまたアプローチとしては正統派だと思うのだ。
⚫︎取材協力:グローバル 岐阜県羽島郡岐南町平成2-105 TEL:058-374-8838
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