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予想していた2JZ換装は大ハズレ
何と6M-G改TD05Hツイン仕様だ!
「そうきたかぁ…」と、久々に足を運んだ“トラスト”で思った。鋭意開発が進められ、東京オートサロン2025で大きな注目を集めること確実な大川ソアラの現代風リメイクバージョン。前回のレポートでは明らかにできなかったけど、搭載されるエンジンはてっきり2JZ-GTだとばかり思ってた。が、まさか元々MZ12に搭載される6M-Gをベースにするとは。
負け惜しみを言うつもりはないが、こっちの勝手な予想でも、正直その可能性はゼロではなかった。しかし、実際そうだったと知ると、完全に裏をかかれた気持ちで一杯だ。このプロジェクトを仕切るトラスト広報の川島さんが言う。
「大川ソアラを再現するのに、譲れないポイントは二つありました。一つはボディ。今時ワイドボディが当たり前ですけど、そこには手を付けずナロー(ノーマル)のままいこうと。もう一つがエンジンで、当時の雰囲気を表現するなら6M-G以外の選択肢はなかったです」。
なるほど。もしエンジンルームに2JZが収まっていたら、それはそれで注目されるだろう。しかし、2JZを換装した10系ソアラは他にもあるし、大川ソアラの再現という基本コンセプトから大きく外れることにもなる。何より、今の時代にあえてフルチューン仕様の6M-Gを載せる方が意外性もあり、少なくとも古くからのチューニングファンにササることは間違いない。
製作が進むそんなエンジンは、オーバーサイズピストンと強化コンロッドを組んだ3.1L仕様。ワンオフエキマニを介してTD05H-18Gタービンが2基掛けされる。また、電動スロットルも導入し、LINKによるフルコン制御が予定されている。
ピストンはOS技研の鍛造品。ボア径は純正1mmオーバーサイズの84φとされ、排気量は2954ccから3024ccへと拡大する。一方、コンロッドはアメリカ・イーグル製鍛造H断面タイプを使用。ニッケルクロムモリブデン鋼の一種である4340材スチールを素材とし、多段階の熱処理やショットピーニング加工により優れた疲労強度を誇る。
クランクシャフトはストローク量91.0mmのノーマルを使用。当時、5M-Gや6M-Gのチューンドエンジンを組んでいた川端さんによれば、「これで500~600psを受け止めていたので耐久性に問題はないと思いますよ」とのこと。
セットされたピストンとコンロッドをシリンダーブロックに組み付ける作業。ピストンにエンジンオイルを塗布し、リングの合い口の位置を確認する。その後、ピストンリングコンプレッサーを使い、ハンマーの柄でピストントップを軽く叩きながらシリンダーブロックに収めていく。最後にコンロッドキャップを被せ、ボルトを規定トルクで締め付ければ作業は完了だ。
吸気1、排気1の2バルブヘッドを持つ6M-GEU。「油圧ラッシュアジャスターは新品が手に入りましたけど、バルブは欠品していたので磨いて再使用します」と川端さんは言う。また、時代を感じるのはプラグ位置がオフセットされた半球形燃焼室だ。
足回りにはプルームエアサスペンションをセット。“走れるエアサス”として知られ、トラストとして新たな方向性を打ち出すため採用に踏み切った。
トランクルームにはエアリフトパフォーマンスのタンクやポンプ、コントロールユニットが設置される。
「自分はイメージを伝えるだけ。細かい部分は現場スタッフが考えながら形にしていっています。大前提はストリート仕様であること。チューニングカーとしての走りはもちろん、ここ数年、いわゆる置き系イベントにも顔を出していたので、カスタムやドレスアップ要素も盛り込んだ1台に仕上げますよ。ちなみに、ロールケージは組みません。S-ROCもそうでしたけど、それが、トラストが作るストリートチューンドの伝統なんです」と川島さんが説明してくれた。
マシンメイクの進行はほぼ予定通り(実は微妙に遅れ気味!?)。1ヵ月半後に迫った東京オートサロン2025に向けて、ここから最後の追い込みだ。
●問い合わせ:トラスト TEL:0479-77-3000
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