目次
名医による無駄のない高バランスチューニングを紐解く
リフレッシュを意識したチューニングで33Rはまだまだ楽しめる
第二世代GT-Rの真ん中にあたるBCNR33は、エンジンこそ細部変更されているもののBNR32からのキャリーオーバー。しかし、シャシーは大幅に手が入れられているというモデルだ。
ロングホイールベース化されたことにより「スポーツカーらしさが薄い」と言われたりもするが、内に秘めた闘争本能の高さは紛れもなく“Rの血統”。
そんなBCNR33の魅力を引き出すべく、各部に効果的なチューニングを施したのが、栃木県の名将“リバース”。普段は高速や峠などステージを選ばず走りを楽しんでいるオーナーの要望を汲み取りながら、二人三脚で進化を続けている1台だ。
現状エンジン本体はストック状態。ゆくゆくは2.8L化していくということで、タービンはHKSのGTIII-RSをセット。2.6Lとの組み合わせでは上振りの特性になると思われるが、可変バルタイ機構(Vカム)を導入していることもあって、街乗りでもストレスなく走れるパワー特性を実現している。
点火系はオカダプロジェクツのプラズマダイレクトで強化。高回転の失火予防になるのはもちろん、低速トルクも太くなる効果が得られるリバースお勧めのパーツだ。その他、燃料系にはサードの860ccインジェクターおよび大容量燃料ポンプを導入し、吸気系もニスモの大容量サージタンクを入れるなど、バランスよくチューニングされている。
オリジナルの専用オイルキャッチタンクをセット。RB26はブローバイガスも多いエンジンなので、サーキット派のみならず装着しておきたい。もちろん大容量オイルクーラーも装備される。
エンジンマネージメントはF-CON Vプロで、Vカムも単体制御できるVer.4.0だ。エアフロレスのDジェトロ制御となっており、シチュエーションを選ばずスムーズな吹け上がりを見せる。
サスペンションはエンドレスのジールファンクション車高調(F14kg/mm R12kg/mm)を導入し、車高は低めながらしっかりと足が動くようにセットアップ。ストリート仕様としては若干スプリングレートが高めだが、高速域でのバンプを柔らかめに味付けするなどして路面からの入力をいなしている。
ホイールはボルクレーシングCE28Nの10.5Jを通しでセット。タイヤは295/30R18サイズのポテンザRE-71Rを組み合わせている。その隙間から覗くブレーキは、エンドレスのビッグキャリパー(F6ポット R4ポット)&2ピースローターだ。
このチューンドをワインディングで試乗した飯田章選手は「R33GT-Rってさ、人気ないじゃない? でも、R32より剛性は高いし、ロングホイールベースだからR34よりも挙動がマイルドで良いクルマなんだよね。分かっている人がチョイスするベース車って感じ。このチューンドは、現状タービンが大き目だから若干ターボラグが気になるけど、排気量アップされればこれは解消されるだろうね。それとブレーキ。止まりすぎるくらい効くし、コントロール性も良いから峠でも安心して走れる。乗っていて本当に楽しいよ」と評価。
ちなみに、ミッションやデフはノーマルのままだが、GT-R用にオリジナルブレンドしたモティーズ製のオイルを入れることで、トラブル予防とフィーリングアップに繋げている。
経年劣化によるトラブルも増えてきたBCNR33だからこそ、リフレッシュを意識しつつ、的確なチューニングに取り組みたい。リバースが仕上げたこのチューンドは、そんな理想を具現化した好サンプルと言えそうだ。
●取材協力:リバース 栃木県真岡市長田126-2 TEL:0285-82-4870
【関連リンク】
リバース
http://www.reverse-seed.com