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シビックタイプRのポテンシャルを引き出せ!
FL5チューニング最前線!
国内レースの最高峰カテゴリーでもあるGT500に投入されるなど、ホンダイズムを継承した新世代スポーツとして存在感を増しているFL5型シビックタイプR。技術屋集団として知られる“HKS”では、さらなるパフォーマンスアップを果たすべく、パーツ開発に取り組んできた。
徹底したテストを重ね、確かな効果が認められたアイテムのみを市販化してきたHKS。ゆえに、開発には相応の時間を要するが、満足度の高いパーツが揃うと世界中のカスタムフリークから確かな信頼を獲得している。
FL5についてはチューニングのファーストステップに必要な定番アイテムがほぼ出揃い、足回りの強化やブーストアップが可能となった。これから愛車を、自分色に染め上げていこうと考えているオーナーにとって気になる所だろう。
まずサスペンションから。ストリートでもしなやかな乗り心地を実感できるハイパーマックスSと、サーキットでのパフォーマンスを追求したハイパーマックスRが用意された。いずれも十分なストロークが確保されており、路面に吸い付くようなフラットライドな走りを披露。タイプRらしい走りをより際立たせる逸品と言える。
その装着により自分好みの車高にローダウンできる他、フロントキャンバーの調整が可能となり、インチアップに対応できるのも魅力。いずれも、純正の電子制御サスに対応するキャンセラー付きなので車検時も安心だ。
一方のパワーチューニングに関しても開発はかなり進んでいる。エキゾースト環境には、中間パイプからフル交換する車検対応マフラー『リーガマックススポーツ』を設定。こちらはパイプ径の拡大やストレート構造の採用により、純正に対して排圧マイナス30%を達成。スムーズに排気が抜けるようになり心地のいいサウンドが楽しめる。
ECUには一切手を付けず、車両の圧力センサーと圧力センサーハーネスの間にカプラーオンで割り込み接続するだけでブーストアップを実現するパワーエディターももちろん対応。FL5専用データ入りとなっており、ポン付けで最高出力はノーマルの330.7psから341.5psに、最大トルクは41.4kgmから42.9kgmにそれぞれアップ。パワー&トルクともに最大変化幅こそ大きくはないが、3500rpm〜6500rpmという常用〜高回転域の出力特性を改善させることで、数値以上にパンチ溢れる走りを生み出してくれる。
復帰用コネクターも同梱されており、セットすれば瞬時にノーマル戻しを行うことも可能だ。
FL5は発生する熱量が多く、純正インタークーラーでは完全に容量不足。HKSの社内テストでは、インタークーラー入り口の温度は140度に達し、コアで冷却された出口側でも60度以上という結果だったという。
「ブーストアップするとさらに吸気温度は上昇するので、絶対的な容量が足りなくなってきますね。また吸気温度が高くなりすぎると補正が入り、サーキットで徐々にパワーダウンしてしまうなどの弊害が出る恐れもあります」とは、HKS開発部の淵沢さん。
そこでHKSは、純正コアから置き換えで使用できるサイズでありながら、面積を純正に対して22.4%アップさせる製品を開発。純正パイピングとのドッキングが可能な上、キットにはロゴスプレー用のマスキングシートも付属するので、DIYで手軽にチューンド指数を高めることが可能だ。
「冷却効率は純正に対して22%アップしています。純正では60度近かったインタークーラー出口の吸気温度が26度下がり、30度前後まで抑えられるようになりました。特にブーストアップした際の効果が大きいですね」と話す。
なお、一般的にインタークーラーの厚みが増すとその後方にあるラジエターへの影響が気になるところだが、コア間隔を最適化するなど対策済み。FL5の純正ラジエーターは性能がよく、水温についても問題ない範囲に収まっていることが確認できている。ただし、FL5はパワーアップにともない油温が厳しくなる傾向があるため、HKSではオイルクーラーの開発も進めているそうだ。
「次なるステップとして、ハイフロータービンやキャタライザーもテストを開始しています。ノーマルは300〜310ps、ブーストアップで360psは出るので、タービン交換仕様では390〜400psを想定しています。ゆくゆくは燃料系まで強化して500psを出したいですね。エンジンがどこまで耐えられるかは分かりませんが、計算上はコンロッドの強度は問題なさそうです」。
ますます広がるFL5チューニングの可能性。史上最速のタイプRが、どれだけのポテンシャルを秘めているのか。HKSの今後の開発に期待が高まるばかりだ。
●問い合わせ:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235
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