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マイナー車チューンドの真髄を感じるST190コロナ改
中古のセリカを購入して機関系をフル移植!
90年代を代表する“中型おっさんセダン”の10代目コロナ(ST190)をベースにしたチューンドだ。
オーナーはファミリーカーとしてコロナを購入し、移動手段として使っていたそうだが年月の経過とともに愛着が深まっていき、手放せなくなったそう。ただし、1.8Lの4S-FEエンジンでは遅すぎるため、走行距離10万キロを超えたタイミングでチューニングショップ“Dウエスト”にエンジン載せ換えを依頼した。
スワップしたのは、ST202セリカ用の3S-GE(VVT-i無し)。25万円でドナーとなる中古のセリカを1台丸ごと購入したそうな。
ちなみに、オーナーが3S-GEを選んだ理由は明快だ。1994年の全日本ツーリングカー選手権(JTCC)で、実際に3S-GE仕様のコロナが走っていたから。「実際にスワップ例があるし、ST19系コロナには3S-FE(3S-GEの派生エンジン)搭載グレードもあるから問題ないはず!」。そのように考えたのである。
しかし、実際に作業してみると、エンジンマウントの位置決めや補機類のレイアウトなど想像以上に大変だったそう。そうした苦労を乗り越えて完成した3S-GE仕様のコロナ。エンジン本体はノーマルだが、ワンオフのサクションとEXマニで吸排気の高効率化を図っている。
単純に考えて、125psの4S-FEに対して3S-GEは180ps。55馬力の差は大きく、これまでシフトダウンしないと厳しかった峠でも、ギヤを変えずに走れるようになったとか。もちろん完全公認仕様だ。
足回りはジールファンクションB6車高調を軸に構築。ブレーキは純正のシングルポットではフェードしまくってどうしようもなかったため、フロントにエンドレスのチビロクキャリパーキットを奮発。強烈なストッピングパワーを手に入れた。
ホイールはグラムライツ57F(FR7.5J×17+40)で、タイヤにはポテンザ(FR215/45-17)を組み合わせる。
オーナーの愛着を感じる室内。追加メーターはデフィ(水温、油温、油圧)で統一、その下にはアペックスの燃調補正機“S-AFC”をマウント。ミッションもセリカ用の5速を移植している。
シートはホールド性を追求してレカロSP-Gをセット。それに合わせて助手席はセミバケタイプのレカロSR3でコーディネイトする。
ヘッドライトはカルディナ用を移植。カルディナはST19系コロナをベースにしたステーションワゴンのため、共通部品が非常に多いのだ。ヘッドライト以外にもエアロパーツも流用してファミリーカー感を消している。ボディは色褪せてきたのが許せなくなり、同色でオールペイントしたというから恐れ入る。
TRDのグリルから覗くオイルクーラーがチューンドを物語る。チューンドベースとしてはかなりのマイナーな部類のST190だが、情熱があればここまでできる。チューニングの原点を強く感じさせてくれる1台だ。