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カスタム済みのボディをベースに魔改造
クラシックな見た目に反し、直6ターボで速さは十分!
「目指したのはマッドマックスの世界観」というオーナーの言葉通り、全身から退廃的な雰囲気を放つこの怪しいクルマ。外装は「シューボックス」の愛称で親しまれる1949年式フォードなのだが、中身はまったくの別物だったりする。
その正体は、何と2008年式のBMW335i(E92)! オールドフォードに現代的な走行性能を与えようと考えた結果、335iのフレームごと土台に使った“上下ニコイチ”車両を製作してしまったのだ。
簡単に言えば、下半分がBMWで上半分がフォード。つまり、エンジンやミッションを含むパワートレインや前後サスペンションは、335iを寸法も変えずにそのまま使っている、というわけ。もはやラジコンのノリである。もちろんそのまま被せてもサイズが合うわけもなく、取り付けに際してフォードのボディは7インチ(約18cm)のショート化が行われている。
「ボンネットを外すのも一苦労」ということでエンジンルームの撮影は適わなかったが、パワーユニットは335i純正の3.0L直6ターボユニット。タービンはGCGのG30-770をボンネット突き出しのオーバーヘッドマウントとしている。エンジンマネージメントはバーガーチューニング製のJB4キットだ。
リップやスプリッターなどのエアロパーツは競技ドリフトマシンから着想を得たもの。純然たるホットロッドとはせず、様々なジャンルのテイストを盛り込んで近未来的なクロスオーバー仕様を狙ったわけだ。
マッドマックスがテーマのため、エクステリアの各部は溶接ビードを残してデザイン。ウェザリングも行われ、独特の雰囲気を演出している。
無骨なオーバーフェンダーに収められた超深リムのホイールは、ピックアップトラック用ホイールメーカー“Hostile Wheels(ホスタイルホイールズ)”のHF10マニアック。前後ともに20インチで、フロントが12J、リヤが14Jという攻めたサイズだ。
インテリアメイクも凄まじい。メーターやスイッチ類は335i純正をキープしているものの、ダッシュボードやコンソールは完全にリメイクされ、BMW感を払拭。ミッションはATだが、シフトをカスタムメイドでシーケンシャルのように見せているのもポイントだ。
一見してハチャメチャなコンセプトは見る人によって好みが分かれそうだが、そこはオーナー自身も承知の上。彼独自のイマジネーションを具現化したBMW改フォードは、SEMA2021の会場で大きな注目を集めた。まさに超大作だ。
●取材イベント:SEMA SHOW 2021