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セルシオV8エンジンスワップで怒涛のトルク!
クローズドコース専用機だからこそなせるフルカスタム仕様
構想から完成までに費やした期間は約1年。このS13シルビアは、オーナーが本業(鈑金工場経営)の合間にコツコツと作業を進めて完成させた至宝のドリフトスペックだ。
フロントストラットより先がパイプフレーム化されたエンジンルームには、セルシオに搭載されていた4.0LのV8エンジン1UZ-FEが鎮座する。
「元々、SRエンジンで走っていたんですけどブローしちゃって。安くてトルクがあって頑丈なエンジンということで、1UZのスワップを行なったんです」とはオーナー。載せ換えには海外のスワップキットを使用、エンジン制御はトムスのテックIIが担う。ミッションは同じく海外製の変換アダプターを介してシルビア純正の5速をドッキングさせている。
フロントのアームとナックルはマックスのリミットブレイクで、タイロッドはD-MAX。車高調もマックス製(F12kg/mm R8kg/mm)だ。一方のリヤは上げ加工したS15メンバーを軸に構成し、アーム類はフロント同様にマックスのリミットブレイクを投入している。
ホイールは前後ともに18インチのウェッズクレンツェLXZで、リバレル化によってフロントが11Jマイナス53、リヤが13Jマイナス53という驚異的なワイドさとディープリムを誇る。ブレーキキャリパーは前後ともにR33タイプM用を流用。リヤは油圧サイドブレーキの投入に合わせてツインキャリパー仕様だ。
エアロパーツやワイドフェンダーなどは全てパンデム製で統一。フロントのヘッドライトは、海外製の純正形状レンズ内にLEDの作業灯を収めた自作スペシャル。「純正ヘッドライトは希少で高額ですからね。この自作品なら格安で作り直せるんです」とのこと。クラッシュ発生率の高いドリ車ならではのメイキングだ。
ベースは国内仕様のS13シルビアだが、240SXのステアリングラックとダッシュボードを使って左ハンドル化しているのも特徴のひとつ。オーナーはブラジルで育った人物。それだけに、運転のしやすさを考えると左ハンドル化はかなり重要な項目だったという。
ハンドルとクイックリリースはアメリカのNR-G。シートはブリッドのジータIIIだ。油圧サイドはセンターコンソール内にマウントしてスッキリ。その横にキーシリンダーを配置してるのもレーシーだ。ペダルは油圧サイドと同じメーカー“コンプブレーキ”のキット品とのこと。
室内を覆い尽くすロールケージはオリジナル。サイトウロールケージで40φのスチールバーを買ってベンダーで曲げながら好きに作った。
仕上がりは完全にコンクールコンディション。それでいて、深いアングルでのハイスピードドリフトも可能というのだから、完全無欠のスーパーチューンドと言っても決して過言ではないだろう。
PHOTO:土屋勇人(Hayato TSUCHIYA)
●取材イベント:HARDCORE TRACK MEETING