目次
軽量ミッドシップを極めたサーキット専用機!
700cc化でパワーを引き上げワイドトレッドで安定感をアップ
鈴鹿サーキットを颯爽と走る漆黒のホンダビート。ワイドボディを纏い、圧巻のコーナリングスピードを見せながら普通車を追いかけ回す様は、走行会の中でも異彩を放つ存在であった。
その速さの秘訣としてまず挙げられるのが、エンジンの排気量アップ。クルマの構造上、撮影は叶わなかったが、エンジンはオートマックで製作された700ccの77ps仕様を搭載。これはダイハツ車の68φピストンを組み合わせたたもので、低速トルクが大幅にアップされているという。さらにカム変更と合わせて1万500rpmまで常用できる高回転スペックとなっている。
センター2本出しのカチ上げテールが斬新なエキゾーストマフラーは、オーナーの実家であるショップ“マーク羽島”による逸品。700㏄の出力特性を活かすために、オーナーの父親が腕を振るったワンオフスペシャルだ。
排気量アップに合わせて冷却系もバージョンアップ。フロントフードには、ラジエターのクーリング性能を引き上げるためのエアアウトレットを用意。大雑把にカットしただけだが、想像以上に効果的だったそうだ。
ダックテール形状のカーボントランクは、オーナーの勤め先であるボルテックスの設備を駆使して休み時間に自作。もちろん製品ではなく、完全なオリジナル。これは空力特性重視というよりもスタイリングを優先して造形を進めたものだという。
戦闘機のコクピットを思わせるダッシュボードもオーナーの自作。カーボン生地は端切れを有効活用しており、不規則な柄が個性的だ。
コンパクトな車内に収めたフルバケットシートは、ヘッドガードを装備するブリッドのXERO CS。ロールケージはオートマックの6点式だ。
叩き出しフェンダーによるワイドボディ化は、深リムのRSワタナベ8スポーク(FR:8Jプラマイ0)を履きたかったから。ゼロオフセットで深リム感を演出しつつ、アドバンA050の195/50−15サイズをセット。
足回りはコニの車高調キットを軸に構築。スプリングレートはフロント14kg/mm、リア18kg/mmというセッティングだ。サーキットアタックを前提に、フィット純正ブレーキを流用して容量アップしているのもポイントだ。
この軽自動車のパフォーマンスは紛れもなく本物で、鈴鹿サーキットではヤリスカップなどで走るリッターカーのレース車両と同等の2分43秒台をマーク。見た目からは想像もできないほどパンチを秘めたコンパクトなホットマシン、魅力的すぎる!
REPORT:渡辺大輔
●取材イベント:Attack SUZUKA 2022/GARAGE Dyu・Van TRACK DAY 2022