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軽量化とK型エンジンを武器にチューンドシビックの頂点を目指す
魅せる、攻めるを両立したサーキットメイク
通称グランドシビックと呼ばれたFE系シビック。先代モデルのAG系(ワンダーシビック)は「革新的」と大絶賛され爆発的ヒットを飛ばしたが、続くグランドシビックはその評価をさらに高めたクルマと言っていい。デビューは1987年、ワイドトレッドの優れたバランス特性により、グループAでも活躍した経緯を持つ。
デビュー時にはまだVTECが存在せず、当時のスポーツモデルにはZCエンジンが搭載されていた(マイナーチェンジでB16A搭載のSi-Rがデビュー)。ちなみに、ここで紹介する車両のベースはD13Bを搭載したEF1で、1993年(平成3年式)の最終型だ。
このチューンドのコンセプトは“サーキットアタックもこなせるナンバー付き車両”。そのため内装は全て取り払いドンガラ化、シートも思い切って1シーターとして公認を取得している。自走で堂々とサーキットまで行って激速タイムを叩き出してそのまま帰る、そんなスタイルを目指しているのだ。
ロールケージは、重量増を嫌ってBピラー以降で展開する5点式を装備。また、シフトレバー(エインク機構)を高い位置に移設するなど、ポジションメイクにも拘っている。
リヤウインドウはアクリルに交換。さらにリヤトランクやウイング、ボンネットなど外装パーツにはカーボンパーツを採用し、EFシビックの武器である軽量性に磨きをかけている。
エンジンは、D13Bでは心もとないためDC5などに搭載される2.0LのK20Aにスイッチ。同時に補機類やエンジンハーネスは目立たぬように隠す、スマートなワイヤータックも敢行した。USDM仕様よろしく、エンジンルームまで魅せることを意識しているのだ。
換装にあたっては、米ハスポート社製のマウンティングキットを使用。レイアウト上、必要となるオルタネーターの移動にもアメリカ製のキットを使っている。海外にはこうしたスワップキットが山ほど存在するため、換装作業も昔に比べて非常に楽になったそうだ。
インテーク環境は、リニアなアクセルレスポンスを求めて戸田レーシングのスポーツインジェクションキットで4連スロットル化。エキゾースト側にはオリジナルのEXマニを投入して、吸排気効率を極限まで高めている。レブリミットは8500rpmの設定だ。
エンジンハーネスやECUはDC5用を流用。セッティングはこのマシンを製作したリズムモータースのオリジナルだ。
サスペンションはクラックス車高調を軸に、無限のスタビライザー、ナックル加工、大阪JDMのリヤロアアームなどで作り込まれる。
マッシブな鍛造ホイールは、コモンスナッパーがプロデュースするBMDイレブン。その隙間から覗くブレーキはスプーンのキャリパーキットだ。前後のSタイヤにはADVANのレタリングを入れレーシーに飾る。
想定ステージは地元のセントラルサーキットで、ターゲットタイムは1分24秒台と、ターボ車をも凌ぐところに設定。軽量ボディ+ハイパワーVTECエンジンの組み合わせは、それだけのポテンシャルを秘めているというわけだ。