目次
あらゆるレーシングドライバーを虜にする過給圧上昇7の魔力
RX-7のポテンシャルを高次元でバランスよく引き出す
RE雨宮が展開するコンプリートチューンド“過給圧上昇”シリーズ。その名の通り、純正タービンを生かしきるブーストアップ仕様だ。
FD3Sは元々、前後50:50の重量バランスを保持しているため基本性能は申し分ない。そこで歴代の過給圧上昇号は、この基本性能をそのままスライドしてRE雨宮流のテイストに染められているのが特徴と言える。すなわち、RE雨宮の基準となるFD3Sを具現化したモデルなのである。
今作はシリーズ9作目のモデルで、エクステリアはスーパーグレッディ3ボディキットで武装。初代の過給圧上昇号が370psだったのに対して、この9号機はマネージメントのアップデートにより402ps/47kgmまでに出力が高まっているというから恐れ入る。
エンジン本体はポートの段付き修正に留めて、吸排気チューンを徹底。まず吸気側はHKSパワーフローに、オリジナルのレベルマン(Vマウント式のインタークーラーキット)を装着。コアサイズは大型だが、これはタービン交換へのステップアップも考慮した結果だ。そんなVマウントシステムによる冷却性能を最大限まで飛躍させるべく、ボンネットダクトはインタークーラーサイズに合せた形状が与えられている点は見逃せない。
排気パートは車検対応を前提とし、オリジナルのSDコンバーターを中心にレイウト。小気味の良いチューンドロータリーの咆哮は、じつに刺激的であり紳士的だ。
また、タービンに関しても常時ツインターボよりも扱いやすくをコンセプトに、アペックス・パワーFCでシーケンシャルの切り替えポイントを徹底的に調整。これにより、パワーの谷間をほとんど感じさせないフラットターボ特性を実現している。
そうしたパワーチューンに加えて注目したいのが足回り。アドバンネオバAD08Rのグリップ特性に合わせたサスペンションシステムと、それを活かす雨宮独自のセッティング技術が組み合わさることで、信じられないレベルのコーナリングパフォーマンスを発揮する。
軸となる車高調はDG-5雨宮スペックで、単なるDG-5のFD3S用という訳ではなく、しっかりテストして完全に雨宮テイストに仕上げられた逸品だ。スプリングにはスウィフト(F16kg/mm R18kg/mm)を奢る。
スポーツ走行に欠かせないのが、ミッションとデフを繋ぐパワープラントフレームの強化。さらにタイヤの性能が大幅に進化したことから、機械式LSD(OS技研スーパーロックLSD)のイニシャルトルクは下げる方向で煮詰められ、操縦性と快適性は従来のチューンドと一線を画す。ファイナルは4.3だ。
ブレーキは、前後ともプロジェクトμの2ピースブレーキローターに、雨宮スペックのブレーキパッドを装着。キャリパーはFD3S純正の17インチ仕様となっており、サーキットアタック時もこの組み合わせのままだ。
インテリアはストリートスペックらしい仕上がり。追加メーターはステアリングコラム上の52φブーストメーター以外では、60φ(油温、水温、油圧計)で統一。もちろんオーディオも装備され、エアコンもバリバリに効く快適仕様だ。サーキットも走れてエアコンが効くというのも、歴代の過給圧上昇号に課せられた命題で、快適性と乗って楽しめるというコンセプトで仕上げている。
快適性はエアコンだけに留まらず、室内を少しでも広くするためロールケージすら入れていない。この9号機が6型ベースということもあるのだが、ストリート走行が中心となるとボディ補強も最小限で済むのだ。ただし、この9号機は、製作の途中でドア開口部やガラス周辺にスポット溶接を追加している。
余談だが、このFD3Sにはこれまで多くの有名プロドライバーが峠やサーキットでのインプレッションを行ってきている。そして乗り終えたドライバーたちは、必ずと言っていいほどそのポテンシャルの高さに絶句してしまうのだとか。RE雨宮FD3Sブーストアップ仕様。それはRX-7チューニングのひとつの完成形と言えるのかもしれない。
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007
【関連リンク】
RE雨宮
http://www.re-amemiya.co.jp