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サビサビの外装はまさかの塗装仕上げ
これが由緒正しいジムニーの楽しみ方だ!
8月1日に“つくるまサーキット那須”で開催された『ジムニー那須ふぇす』。各地からハイリフトやドレスアップ、サーキット仕様などバラエティに富んだマシンが集結したが、参加車両の中でもひときわ異彩を放っていたのが群馬県からやってきたこの2台。“ベスト・オブ ポンコツ”の称号を勝手に進呈するとともに、WEB OPTIONで紹介したいと思う。
2台のマシンは『災害時 全天候型物資輸送訓練ジムニーチーム 上州田中商店』を名乗るメンバーの精鋭で、こちらのJA11型は隊長(!?)である田中さんの愛機。
ちなみに、上州田中商店は群馬県高崎市にあるタイヤ&ホイールの買い取りをメインとしたお店で、物資輸送訓練活動はあくまでも趣味。ジムニーにハマったきっかけは、山道でのランドクルーザーを凌駕できるほどのパフォーマンスだったという。
日々の訓練活動による傷やヘコミはボディ全体に及ぶが、注目すべきはサビ風の演出が塗装によるものという点。このイベント参加に合わせてDIYで施工したもので、タミヤのホビー用缶スプレーを大量に使用したそうな。
JA11型のジムニーに搭載されているのは、657ccでSOHCインタークーラーターボ3気筒のF6Aエンジン。本体や補機類は基本的にノーマルで、整備で好調を維持している。
このJA11はお客さんの代車としても活躍するため、ミッションはイージードライブが可能なオートマとなる。ツイン装着の扇風機の他、フロアにべったりとこびりついた泥などが日頃の訓練のハードさを物語っているようだ…。
仲間たちと行っている訓練活動の内容は、スタックや横転車のレスキュー、台風後の倒木除去による林道復旧作業など。トランクルームやルーフラックには、そうした際に必要となる各種アイテムが満載だ。
フロントバンパー中央部にはウインチを搭載。さらに、リヤサイドウインドウ部分には無骨なスタックリカバリーラダーが。DIYペイントまで含めて、エクステリアには独特のミリタリー感が漂っている。
もう1台のマシンは、中山さんのSJ30型。この車両の他にもSJ30をもう1台、JA71(550cc)、JA11と計4台のジムニーを所有している根っからのフリークだ。趣味の釣り用グルマとして20年ほど前に手に入れたのが、ジムニー歴のスタートだったとのこと。
SJ30型の最大の特徴が550cc水冷2サイクル3気筒エンジン。1981年のデビュー当時はすでにスズキのほとんどのクルマが4サイクルエンジンへ移行していたが、ジムニーは悪路走行時の低速トルクの必要性で採用された。
ハードな訓練での転倒に備えて、室内にはロールケージをセット。シフトノブはJA71純正流用としているが、SJ30からJA11までは基本骨格が共通なので、モデル間で色々な流用カスタムが楽しめるのもジムニーならではだ。
運転席はホンダCR-X用を自作レールアダプター(木製の角材)を介してインストール。そしてシートベルトにはメルセデスベンツ用を使うなど、遊び心たっぷりの仕様となっている。
中山さんイチ押しの自慢の品が、このタイヤ。ブリヂストンのジープサービスというモデルで、かつてジムニー乗りの定番とされていた絶版品。ゴミとして放置されていたものを譲り受けて装着したとのこと。
ある意味ジムニーの本来の楽しみを満喫しているといえる『ジムニーチーム 上州田中商店』。訓練活動の模様はYouTubeにアップされているというから、興味のある人は要チェックだ!
PHOTO&TEXT:川崎英俊
●取材イベント:ジムニー那須フェス2021