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950キロの軽量ボディに2.4Lメカチューンユニットを搭載!
スペシャルパーツを一切使用しない純正流用のマシンメイク
FD2は今でこそ人気のチューンドベースになっているが、発表当時はネガティブなイメージがつきまとった。伝統のハッチバックスタイルからセダンへと生まれ変わり、ロングホイールベース化や車重の大幅増からその魅力が損なわれたように思えたからだ。
しかし、FD2は純然たるタイプRであり、ポテンシャルは歴代モデルに対しても決して引けを取らない。それを証明するべくホンダツインカムが製作したのが、このタイムアタック仕様のデモカー3号機である。
メイキングは圧巻だ。K24AブロックとK20Aヘッドの組み合わせによる2.4Lのi-VTECユニットは、戸田レーシングのハイカム(IN310度13mmリフト&EX305度12.5mmリフト)や4連スロットルの装備と、ハイコンプピストンと燃焼室加工によって14:1にまで圧縮比を高め、猛烈なトルクとハイパワーを発揮する。
そのスペックは実に350ps/33.5kgm。排気量アップの効果があるとはいえ、2.0Lノーマルのカタログスペックに対し、125ps/11.6kgmアップを達成しているのだ。レブリミットは8500rpmに抑えているが、これはピストンスピードが速すぎることを考慮した結果だ。ちなみに、燃料系はインジェクターをS2000純正に交換するのみでタンクやポンプはノーマル。
排気系は上流から4-2-1タイプのEXマニ、スーパーメタル触媒、リヤマフラーとフル交換される。リヤマフラーのみはサブサイレンサーレスのサーキット専用品で、2.4Lの排気量とのマッチングさせたメインパイプ79φの大径仕様となっている。
また、制御は純正ECU書き替えで行っていることもポイント。これだけのパワーを発揮するサーキットスペックとはいえ、一切スペシャルパーツを使用しないこともホンダツインカムの拘りである。
一方の室内は、超スパルタンな仕上がりだ。メインメーターはデフィのタコメーターと、油温&水温管理用のマルチメーターを装備するのみとし、スピードメーターさえもレス化。また、ヒール&トゥをしやすくするために、アクセルペダルは本来のオルガン式から吊り下げ式に変更している。
ボディはスポット溶接増しの他、トランクスルーの開口部分にパネルを当てて補強。ロールケージももちろん装備される。車重はカタログ値の1260kgに対し、なんと950kg! 強烈な軽量&高剛性ボディを作り上げたのだ。
310キロも軽量化されたボディとパンチ力のあるエンジンに対して、足回りは至ってシンプルな仕立てだ。装着する車高調は、フロント16kg/mm、リヤ28kg/mmという超ハイレートスプリングに合わせて減衰特性を変更した、製品ラインナップの倒立式ダンパーだ。
特にフロントがストラット式のFD2では、倒立式ダンパーの剛性の高さは大きな武器であり、タイヤの接地性を高めてグリップを存分に発揮させている。なお、アーム類はフルノーマルのままだが、そこには数多のノウハウが投入されていて、サスペンション剛性を稼いでタイヤの性能をフルに発揮させるという思想の現れである。
フロントブレーキは、標準のブレンボに代えてAPP製の6ポットキャリパーを装備。鍛造製法ならではの剛性の高さにより、安定した制動性能を発揮する。
エクステリアは、オリジナルエアロで武装。フロントは片側+20mmのワイドフェンダーを装備。同様にリヤもオーバーフェンダーによって片側10mm拡幅され、前後ともに235/40-18のクムホ・エクスタV700をインストール。装着されるホイールはAMEのTM-02で、フロントが9.5J+22、リヤが8.5J+45となる。なお、4枚のドアはFRP製で、ウインドウも軽量なアクリル製に交換されている。
これらのメイキングにより、筑波サーキットでは59秒625というFF車としては驚異的なタイムをマーク。販売終了から久しいFD2ではあるが、その戦闘能力はまだまだ一級品であることを示したチューンドだ。
●取材協力:ホンダツインカム杉並店 東京都杉並区成田西2-21-18 TEL:03-5347-7001
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