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水温&油温のレッドゾーンを知ろう!
人気チューニングベースの、水温&油温における推奨温度域&限界値を紹介。実力派チューナー達が、その経験値から導き出した温度域を参考に、今後のクーリング対策に活用していこう!
86&BRZ(ZN6/ZC6) × FA20
●取材協力:ジュンオートメカニック 埼玉県入間市狭山ヶ原松原102-1 TEL:04-2934-5335
水温:推奨温度域 80~95度/限界温度域 100度
純正の水温設定温度は高く、電動ファンの作動温度も100度に近い。通常は走り出せば水温が下がるが、ECUチューン等で少し低い温度からファンを始動させておく方が安心だ。サーキット走行では95度を上限にしないと、フェイルセーフが介入しパワーダウンも著しい。サーキットをメインに考えるなら、温度管理と冷却系の強化を心掛けたい。
油温:推奨温度域 80~120度/限界温度域 130度
86&BRZは、フリクションを減らすために純正オイルの粘度指定が非常に柔らかい。JUNではスポーツ走行派には2.5W-30(RH9オリジナル)や5W-30(モティーズ)を推奨している。また、廉価なオイルは130度を超えると一気に添加成分が分解し、性能が落ちるので注意が必要。ターボやスーパーチャージャーを組み込んだ過給機仕様は、10Wor15Wがお勧めとのことだ。
ツアラーV[JZX100] × 1JZ-GTE
●取材協力:カーメイクラスティー 千葉県白井市冨士51-4 TEL:047-441-6226
水温:推奨温度域 80~90度/限界温度域 110度
初期型は20年以上が経過しているため、ファンカップリングのクラッチが故障している(もしくは故障寸前)個体も多く、街乗りで水温が異様に上昇するような場合は交換が必要。エンジン内部の錆でも水温は上がりやすく、定期的なクーラントの洗浄交換を推奨。サーモは72度くらいがお勧めで、400psまでなら上記の改善やきちんとしたエア抜きで安定する。
油温:推奨温度域 90~110度/限界温度域 125度
油温はサーキット走行では上がりやすく落ちにくいため、レースアタックやドリフトなど高負荷が続くような走りを好むオーナーはオイルクーラーの導入を検討すべし。ただし、JZX100はクーラーコアの設置場所が無いため、電動ファンを併用して油温をコントロールしてやることが重要だ。
S2000(AP1) × F20C
●取材協力:ジェイズレーシング 大阪府茨木市畑田町10-17 TEL:072-645-3500
水温:推奨温度域 82度/限界温度域 90度
チューニングでパワーアップした車両やサーキット走行をする場合、ノーマルラジエターでは容量不足。水温のヒート傾向に悩んでいるならば、スポーツクーラントにローテンプサーモスタットやサーモスイッチを組み合わせる対策が効果的だ。これだけでも、ノーマルに比べて10度近く水温を下げることができる。
油温:推奨温度域 90~110度/限界温度域 130度
純正の水冷オイルクーラーを機能させるためにも、エンジンオイル選びは重要。化学合成油の中でも耐熱性/耐久性に優れる製品をチョイスしておきたい。また、オイルクーラーや油温計を取り付ける場合、サンドイッチブロックの使用は油圧低下等のトラブルを起こしやすいため、ジェイズレーシングでは禁止にしているということも覚えておこう。
シビックタイプR(FD2) × K20A
●取材協力:ジェイズレーシング 大阪府茨木市畑田町10-17 TEL:072-645-3500
水温:推奨温度域 78度/限界温度域 90度
限界温度域の90度付近ではエンジンが壊れるほどでないが、ホンダ車の多くがそうであるように、FD2も水温85度以上でECUの高水温補正が働いてパワーダウンしてしまう。水温条件が厳しい場合、ラジエターは信頼性の高いアルミ2層タイプ等に交換すべし。また、ジェイズレーシングではECUで電動ファンの作動温度のみを書き替えるプランも設定している。
油温:推奨温度域 100度/限界温度域 120度
高回転域を多用するサーキット走行時は、油温よりも気を付けたいのが前後Gや横Gによってオイルポンプがエアを吸い込むことで起こる油圧の低下だ。その対策としてジェイズレーシングが推奨するのは、バッフルプレート付きSPLオイルパンの導入。油圧低下が防げるだけでなく、油温も低下させることが可能とのことだ。
ランサーエボリューションIX(CT9A) × 4G63
●取材協力:Gフォース 神奈川県横浜市鶴見区獅子ヶ谷2-39-68 TEL:045-716-8013
水温:推奨温度域 80~95度/限界温度域 105度
純正でもカルソニック製の高性能ラジエターを装備しているため、水温対策にはそれほど気を使う必要はない。しかし、80度以下になると点火時期を遅らせたり、MIVECの動きにも影響を及ぼす“低水温補正”がかかるので、追加メーターで常に水温をチェックしておきたい。
油温:推奨温度域 100~120度/限界温度域 140度
サーキットを走るのでなければ、純正オイルクーラーでも容量は足りている。ただし、純正バンパーにはオイルクーラーに向けての導風板が備えられており、バンパー交換で導風板のない社外を導入すると逆に温度上昇に繋がることもあるので注意が必要だ。
ランサーエボリューションX(CZ4A) × 4B11
●取材協力:Gフォース 神奈川県横浜市鶴見区獅子ヶ谷2-39-68 TEL:045-716-8013
水温:推奨温度域 80~95度/限界温度域 105度
2008年〜2009年モデルまでのサーモスタットは76.5度で比較的早く開くため、街乗りだと80度以下になって低水温補正がかかりやすい(2009年モデルからは82度設定なので問題なし)ことを覚えておくべし。また、先代モデル同様にランエボXの純正カルソニック製ラジエターは優秀だ。安価なアフター品は逆に性能ダウンになるので注意が必要。
油温:推奨温度域 100~120度/限界温度域 140度
CT系と同様に純正バンパーにはオイルクーラに向けての導風板が備わっており、それを取り除くと温度上昇に繋がるためバンパー交換は要注意。それ以外では、オイルの性能をきちんと管理できていれば大きな問題は起こりにくい。一方、SST車はSSTフルードの温度がヒート傾向にあるため、頻繁にスポーツ走行を行う場合はSSTクーラーを導入するなどの対策が必要だ。
インプレッサWRX (GDB) × EJ20
●取材協力:ボズスピード 埼玉県三郷市天神1丁目127-1 TEL:048-952-8586
水温:推奨温度域 85~90度/限界温度域 100度
ラジエターの容量自体に問題はなく、純正でもサーキット走行は可能なほど。ただし、ハードに走るとホース抜けトラブルを起こす危険性もあるので、信頼性の高いアフターメーカーの高耐久ホースに交換するなどしっかりと対策はしておこう。
油温:推奨温度域 100~110度/限界温度域 130度
とくに油温が上がりやすいというほどではないが、やはりサーキット走行などを行う場合にはオイルクーラーの追加は必須。また、パワーチューニングを進めるにつれ油温管理もシビアになってくるため、適正温度を保てるようにセットアップすることが重要だ。