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東名パワード流VQ35DE&HRチューニング!
エンジンベンチやレース参戦を通じた高度な開発環境
日産ワークスドライバー鈴木誠一氏により1968年に創立された東名自動車。そのスピリッツを受け継ぎ、高性能なアフターマーケット向けパーツをリリースし続けているのが“東名パワード”だ。
パーツ開発における基本コンセプトは、ベースエンジンの解析で設計意図を検証し、長所を伸ばし短所を補完すること。現在リリースしているVQ35DE/HR用のパーツは、かつて開催されていたワンメイクのZマスター参戦を通じて鍛え上げられたものである。
「VQ35はミニバンにまで採用される汎用エンジンですが、ポテンシャルは高いと思います。最大のメリットである分厚いトルク感を生かすことがチューニングでは重要になりますが、その鍵を握っているのがEXマニホールなんです。当初は不等長タイプをリリースしましたが、Zマスター車両でのテスト結果をフィードバックして生まれたのが等長タイプの“Ver.2”です」と説明してくれたのは、開発担当の冨田さんだ。
細部を見ていこう。このEXマニのコンセプトは『鋭利なアクセルレスポンスと悦楽のエンジンフィール、陶酔するサウンド』だ。ベンチテストやレース参戦を通じて開発し、パイプ径42.7φの等長3-1レイアウトを採用。スタッドボルト位置の変更とVQ35DE用フロントパイプ&触媒の流用でVQ35HRにも装着可能だ。
見どころは多いが、集合部までの長さもそのひとつ。エンジンベンチ用の試作EXマニホールドでテストを繰り返した結果、集合部までが短いものは6000rpmで出力低下、長いものは4000rpmでトルクの谷が発生することが判明。最終的に450mmがベストと判断した。
さらに、集合部までの長さは同じにして、パイプ径の異なるものでの性能比較も行った。結果、パイプ径が45φのものでは全域で出力が低下したため、パイプ径は42.7φを採用することになった。
こうして様々なテストを経て生まれてきたエクスプリームバージョン2、純正EXマニ(上)と見比べてみるとその違いは明らかだ。
集合部のフランジは、純正(上)は2重管になっていて見た目よりもパイプ径は細い。対してエクスプリームバージョン2(下)は大口径の60.5φフランジに排気干渉を考慮してパイプを集合させている。
なお、理想のパイプレイアウトを追求した結果、エクスプリームバージョン2には遮熱バンテージの使用が難しくなった。そこでキットには周辺パーツを保護するための遮熱板や断熱材などを付属してトラブルを未然に防ぐ。
もちろん性能は抜群で、全域での出力アップを達成。特に高回転域での伸びは強烈で、胸のすく加速フィールが味わえる。
そんな高性能EXマニの性能を引き出すためのパーツも用意されている。
一切の無駄と妥協を廃してハイパフォーマンスを追求したチタニウムマフラーもそのひとつだ。極力曲げの少ないレーシングレイアウトやフランジレス構造を採用し、高い排気効率と純正比マイナス10.8kgの軽量化も実現している。メインパイプは80φ、テールは120φとなっている。
東名パワードの代名詞でもある、面倒なバルタイ調整作業不要で装着するだけで性能アップが図れるポンカムの存在も忘れてはならない。
V型エンジンは交換のための作業工程が導入のネックとなりがちだが、手間以上のメリットは確実に得られるパーツだ。VQ35DEは前期型用が作用角256度、後期型用が264度、VQ35HR用は作用角264度をラインナップ。従来タイプのプロカムは280度まで用意し、よりハードな仕様にも対応する。
その他、強化バルブスプリングやECUなど、スポーツ走行でのパフォーマンスを高めるためのパーツを多数展開している東名パワード。そのどれもが、膨大なトライ&トライの末に誕生してきた高機能パーツであることは言うまでもないだろう。
●取材協力:東名パワード TEL:042-795-8411
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