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エスコート&安藤佳樹選手のCT9Aが49秒897を達成
950馬力の4G63改2.2L仕様で勝負!
各地のサーキットでコースレコードを塗り替え、日本が誇るタイムアタックマシンの1台として注目される存在にまでなったエスコート&安藤佳樹選手のランエボ9(CT9A)。このスーパーチューンドが、ついに筑波サーキット50秒の壁を打ち破る快挙を成し遂げた。ベストタイムは49秒897だ。
セクタータイムを見ると、第1セクターはチューニングカーとして初となる20秒台をマークしており、最高速度もスーパーフォーミュラに限りなく近い253km/hという数値を叩き出していることが分かる。常軌を逸したレベルのアタックだったわけだ。
「スローイン・ファストアウトという基本はこれまで通りだけど、前回の50秒179をマークした時とは走り方を変えたんです。簡単に言うと、全コーナーでのボトムスピードを意図的に約3km/hほど落として、コーナリングのラインを重視した感じ。それが上手くハマりましたね」とは、アタック後のファイヤー安藤。
ここで改めて、最強ランエボのアウトラインを説明しよう。セミパイプフレーム化されたエンジンルームに収まるのは、4G63ベースで腰下にビレットブロックを使用した2.2L+GCG1050タービン仕様だ。
ピストン、コンロッド、クランクなどのムービングパーツは全てワンオフ品で、ヘッドもナプレックで加工済みとなる。E85アルコール燃料を使用し、最大ブースト圧2.8キロ時に約950psを発生させる。エンジンマネージメントはモーテックM150だ。
点火系はM&W製のドラッグ用CDIを装着。このCDIはモーテックの制御により、ブースト2キロを超えたタイミングで2倍の出力を発揮することで、より安定した点火を実現する。インジェクターは4300cc×4という超大容量タイプへとスイッチ。高出力を安定発揮させる環境を構築したのだ。
ちなみに、インマニ周りのモディファイに関しては“エスコート”塩原代表がインディカーのエンジンメイキングから着想を得たものとのこと。インジェクターの取り付け位置と角度を改良した結果、それだけで100ps近いパワーアップを達成したというから驚かされる。
足回りはマグナス社製のサブフレームをベースに、オリジナルのカスタムアームを組み合わせて構築。サスペンションはオーリンズの車高調(F34kg/mm R32kg/mm)をベースにしたスペシャル品だ。
ブレーキは前後ともにエンドレスのモノブロックキャリパーをセット。ローターはフロントに特注のカーボンローターを合わせつつ、ABSにはボッシュ製のレーシングシステムを導入している。
タイヤはフージャーDOTラジアルを筆頭に様々な銘柄を試してきたが、今回は前後295/35−18サイズのアドバンA050(G/Sコンパウンド+削り)を採用。ホイールはエンケイNT05RRだ。
室内のメイキングも凄まじい。ダッシュボードはドライカーボンパネルで作り直されており、そこにランエボ9の面影は残されていない。ステアリングは上部がカットされたジュニアフォーミュラ系の『MOMO 12C』、メインメーターはモーテックのC187カラーディスプレイロガーだ。メーカー脇にはデジタル時計が確認できる。
ステアリングシャフトは、操作量の1.5倍多くシャフトが回転する増速機構付きのスペシャル品を採用。ステアリングから手を離さずアタックに集中するための装備だ。
ミッション自体はホリンジャーの6速シーケンシャルだが、操作はIパターンではなくモーテックM150制御によるパドルシフト仕様だ。これにより、電光石火のシフトチェンジを可能にしている。
「やれることは全てやり切った感じです。ブースト圧も限界で、あとコンマ1上げただけで即エンジンブローするレベル。だから、この先の目標みたいなことを聞かれても今は思いつきません(笑) でも、タイムの追求は続けていきますよ。次のAttack筑波(2023年2月18日)も今日と同じセットで走るので、期待しててください」と今後の意気込みを語ってくれた。
2023年1月27日。ファイヤー安藤の揺るぎない情熱が、過熱する筑波最速争奪戦の歴史を大きく動かした。圧倒的な数字とともに強烈なインパクトを我々に残してくれた超絶パフォーマンスには、心から敬服するばかりだ。
PHOTO:金子信敏