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過給機チューンを無駄にしない老舗のセットアップ術!
コスパを重視するならFA20は300馬力+αが目安か
広島県の“ウエストスポーツ”が手掛けたZN6型86は、「ユーザー目線のチューニングカーであること」を最優先に開発が進められている。「いくらハイパワーを絞り出しても、トラブルリスクを抱えるようなチューニングでは、とてもユーザーには勧められない」と考えているからだ。
ウエストスポーツでは、86&BRZでストレスなくサーキットを攻略するために必要なスペックを300ps+αと設定。この出力での走り込みに耐えられるエンジン強度の確保を最優先させている。
ただし、いきなり鍛造ピストンやH断面コンロッドといった高額パーツを奢ったのでは、ユーザー目線というポリシーに反する。純正部品にWPC加工などの強化処理を施すことで、コストとパフォーマンスをハイバランスさせているのがポイント。組み込まれる過給機は、HKSのGT2スーパーチャージャーキットだ。
マネージメントにも気を使う。86は特に低回転域でのスロットル開度が過度に抑制されている。そこで、あくまでも街乗りで唐突に感じないように注意しながら、要求トルクマップの書き換えによって、加速域を中心にアクセル開度の適正化を行っているのだ。
サーキットテスト時に燃料の偏りで息継ぎ症状が発生したため、対策としてトランク内には燃料コレクタータンクを追加している。
車高調はアラゴスタベースのオリジナルサーキットスペック。スプリングレートはフロント10kg/mm、リヤ10kg/mmだ。リヤにはGPスポーツの調整式ロアワームを導入し、トラクションを積極的に稼ぐセットアップが施されている。
ホイールは前後とも9.5J×18+43のボルクレーシングZE40、タイヤには265/35R18のアドバンネオバAD08Rを組み込む。以前は255幅+9.0Jで走らせていたが、現在のセットの方が縦方向のグリップやブレーキング時の安定感は格段に上だと言う。
低車高でハードランを繰り返すとドライブシャフトへの負担が蓄積され、破損などのトラブルが発生しやすい。そこでドラシャのストレス軽減策として、リヤサスメンバーを車体上方に10mmオフセットさせている。
「プロドライバーを起用してサーキットテストも重ねていますが、目的はタイムではなく変更箇所の効果と不具合を見極めるためです。最近は“ハンドリングの軽快性をスポイルすることなく、いかにトラクションを稼ぐか”に多くの時間と手間を費やしています」と、ウエストスポーツの亀谷代表は語る。
「ユーザー目線のチューニングカー」というコンセプトに沿った的確なメイキングには、老舗ならではの経験とノウハウの上で成り立っているというわけだ。
●問い合わせ:ウエストスポーツ 広島県福山市新涯町4-2-46 TEL:084-981-5061
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ウエストスポーツ
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