「若きプライベーターが仕上げた魂の極低S2000!」ローフォルムでも本気で走れる仕様を徹底追求

単なるシャコタン仕様と侮るべからず!

ストイックに走りを求めたS2000トラックスタンス仕様

ファルケンカラーを思わせる独特のカラーリングが眩しいこのS2000は、若きオーナー(取材時:23歳)が丹精を込めて作り上げたサーキットスペックだ。

ベース車両がS2000であることを前提に各部のメイキングを見ていくとかなり贅沢な仕様に思えるが、テーマはあくまで“お金をかけない”こと。そのため、使用パーツは大半が中古で作業もDIYで行っているという。

このアグレッシブなボディカラーの塗装も、工場のスペースを借りてDIYで行なったというから恐れ入る。

フロントには後期バンパーが装着されているが、ベースは1999年式の初期型。USヘッドライト化を含めてフロントマスクは古さを一切感じさせない仕上がりだ。

右のヘッドライトやボンネットには加工を施してダクトを設置。ヘッドライトダクトは自らの手でレジンを用いて成形した一品モノだ。

ミラーはマジカルレーシング製のバイク用。S2000の純正ドアミラーはドアパネルにマウントされるものだが、純正の取り付け位置はスムージングして移設を行なっている。

超大型のリヤウイングは、SSクラフト製をベースにワンオフのカーボンステーを組み合わせたスペシャル。「ベストな取り付け位置を模索してきたため、トランクには無数の穴を空けてきました(笑)」とはオーナー。

フェンダーは自らツメ折り。タイヤとのクリアランスは極限まで詰められているものの、この状態で全開走行が可能だ。事実、現仕様で群サイ峠アタック優勝などの記録を残しているのである。

ホイールはエンケイRPF1で、前後ともに10Jプラス38の通し。タイヤはアドバンA052の255/40R17を履いている。

サスペンションはジェイズレーシング×クラックス車高調(前後ともにバネレートは18kg/mm)で、フロントにはキャンバージョイントも装着。ネガティブキャンバー角はフロントが3.5度、リヤが4度とされている。さらにフロントのアッパーアーム取り付け部分は溶接による補強が施されている。

ブレーキは、中古で入手したというAPレーシング4ポットキャリパー&330mm2ピーススリットローターをフロントにセット。リヤも九州男児のインチアップキットを用いてローター径を拡大。

室内はエアコン&オーディオまで撤去されたレーシング仕様。このS2000が完全に走りに振った車両であることがよく分かるパートだ。

シートはブリッドのVIOSIIIローマックスで、ステアリングはアメリカブランドのレナウン製をセットしている。

センターコンソールは撤去した上でスパルタンな一枚物のパネルへ変更。S2000のサイドブレーキは本来助手席側に装着されているが、引きやすさを重視して運転席側に移設している。

エンジンは吸排気系のみのライトチューン。走行距離は14万kmを超えているそうだが絶好調だという。ほぼスポーツ走行のみでの使用という環境は過酷だが、「全然回さない個体はVTECに入らなくなることもあるそうなので、高回転まで使っている方がむしろ良いのかもしれません」とのこと。

排気系はOBX製のEXマニから自作のリヤピース、ベガスポーツのバイク用サイレンサーへと繋がるレイアウト。トランクフロアは大胆にカットされており、ハイマウント化されたマフラーと合わせて強烈なリヤビューのアクセントとなっている。

今後はUS仕様のアイテムを追加していき、US系のイベントを始めショーカー的な楽しみ方もできるスペックにモディファイしていくそう。馴染みの工場に集まり、友人たちと夜な夜なDIYで愛車をイジる。走りに学生生活を捧げるオーナーが仕上げたこのS2000は、その情熱を感じさせるオーラを全身から放っていた。

PHOTO:土屋勇人

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