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ブレーキ強化はスポーツ走行の要!
瞬時に水を沸騰させるフル制動時の発熱量
大きな鉄の塊とも言える自動車。例えばR35GT-Rの車重は約1.7tにも達する。それだけの重量物が100キロ以上で走っている状態から一気に減速することを想像してもらえば、いかにブレーキシステムに大きな負荷が掛かっているか、想像できるはず。
ブレーキの役割はタイヤの回転を維持しようとする運動エネルギーを、摩擦により熱エネルギーへと変換することだ。油圧式ブレーキでは、ブレーキペダルを踏み込むとマスターバックにより増幅された油圧によって、回転しているローターにブレーキパッドを押し付ける。
ちなみに、100キロで走る自動車が急ブレーキを掛けると、2.0Lの水が約3秒で沸騰するほどの熱量を放出する。サーキット走行では、ローターが真っ赤になるほど発熱するケースも多々ある。
しかし、ノーマルは良くも悪くも万人向け。パワーアップしたクルマでスポーツ走行をするといった、特殊な使い方を許容する設計にはなっていない。純正ブレーキでハードな使い方をすると、高熱によってパッドが炭化したり、ブレーキラインにエアを噛み込んでしまうことも…。そこで、適正温度域の高いスポーツパッドに交換したり、ローターやキャリパーを大きくするなどして、高熱に耐えられるブレーキシステムを構築する必要があるのだ。
「純正ブレーキパッドは大量生産しなくてはならないのでコスト面での制約もあります。対して、スポーツユースをターゲットにしたウチのようなブレーキメーカーでは、狙った性能に持っていくために、入れたい摩擦材を積極的に使用できる。それが大きな強みですね」とはエンドレスの花里さん。
続けて、「近頃は純正パッドもスポーティになってきています。ただ、サーキット走行ではさすがに厳しい。安全を確保するためにも、スポーツ走行時はスポーツパッドへの交換は必須と考えてください」と話す。
闇雲に効けば良いというほど単純ではないブレーキ
ただ、闇雲に効けば良いわけではないのもブレーキシステムの奥深さ。制動力のみならず、コントロール性や耐摩耗性、ローター攻撃性、ダストの有無など、様々な性能が求められる。さらに、最近はABSの進化も著しいためそのマッチングも肝心。制動力を高めつつ、いかに扱いやすく気持ち良く減速できるスポーツパッドに仕上げられるか。そんな難題が開発現場に求められているわけだ。
ところで、制動力の強化を図るとどんなメリットがあるのか? レスポンス良く効くため、短い距離で安全に止れるようになる。また、スポーツパッドならではの剛性感のあるペダルタッチに変わり、ドライバーの安心感が高まる。街乗りメインのユーザーでもそうした恩恵は十分に感じられるはずだ。
峠を気持ち良く走りたい、サーキットでタイムアップを目指したいというスポーツ指向の強いユーザーなら、なおさら気を使いたいブレーキシステム。
速度域が高まるとブレーキの効き方やコントロール性に不満が出がち。ハードなブレーキを繰り返すと、パッドの適正温度を超えて効きが悪くなり、同時にフィーリングの悪化も招いてしまう。
高い温度域での使用を前提として開発されたスポーツパッドに交換すれば、そうしたネガティブ要素もなく、安心して止れるようになる。さらには、クルマの姿勢をコントロールするために、曲げるためのブレーキを積極的に使うことも可能になるなど、メリットは非常に大きいのである。
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