「これぞ老舗が提案するSW20令和パッケージだ!」コスパ重視のハイフロー仕様が面白い

オリジナルのハイフロータービンで3S-GTEが覚醒!

スタビライザーにも手を加え、意のままのコーナリングを実現

バブル絶頂期の1989年に、究極の“遊びグルマ”としてトヨタが市場に送り出した2代目MR2(SW20型)。デビューから生産中止までの10年間で計4度のマイナーチェンジを敢行し、その度に大きな改良が行われた。

マイナーチェンジの内容を軽く記しておくと、まずI型とII型の大きな違いはリヤのサスペンションだ。ジオメトリー変化が大きく挙動がピーキーだったI型に対し、II型はロワアームを延長した上でサスメンバーも改良。安心して踏める仕様へとアップデートが敢行されたのだ。

そして、III型以降はエアフロ式のLジェトロからDジェトロに変更。インジェクターも430ccから540ccへと大容量化された。IV型、V型は、主にトラクションコントロールやスポーツABSの構造変更などでさらに熟成。そう、SW20は最後まで和製ミッドシップスポーツとしての純度を高め続けたのである。

「90年代はパワーウォーズ真っ盛りで、600psオーバーのMR2を沢山作ったよ。でも、現在は純正を含めてパーツが無くなってきているから、常識的な予算で楽しむには無理がある。だから、最近はそこそこ速くてコスパに優れるチューニングを勧めているかな」と語るのは、SW20チューニングの名門“アクティブ”の小林代表。

今回の取材車両は、そんなアクティブ小林代表の推奨するメニューが施されたリアルチューンド。コストパフォーマンス重視で、エンジン本体には一切手を入れず、タービン交換で純正インジェクター(III型以降)が許容する400ps近くを出力させているのが特徴だ。

軸となるタービンはオリジナルのハイフロー(27万5000円)。ハウジングはノーマルのCT26を使用し、コンプレッサー&エキゾーストブレードのサイズを拡大。純正比で130%の風量を確保した逸品だ。

ブレードは純正のセラミック製から、より耐熱性に優れるインコネル製にチェンジ。シャフトにもインコネル製が奢られている。燃料ポンプの強化は必須となるが、安全マージンを加味した上で、ブースト圧1.5キロ時に380psを発揮できる設計になっている。

改良前(ノーマル)
改良後(取材車両)

パワーの大幅な向上に合わせてサスペンションチューンにも着手。いわく“意のままのコーナリングを実現する足回りの要となるのは、フロントスタビライザーの取り付け方法”とのこと。

というのも、純正スタビエンドはリンク&ロッドを介してストラット部分で支持されている。しかし、これだとステアリングを切るとネジれ方向にも力が作用してしまい、不意を突かれるステアリングへのキックバックがネックとなる。そこで、ロワアーム部にブラケットを製作&マウントすることで、スムーズなステアリング操作が可能になるという算段だ。

そうして完成した現在の仕様は、ゼロヨンなら11秒台、スポーツランドSUGOでは1分30秒台入りをマークするほどの速さを獲得。ステージによっては格上を喰えるほどの戦闘力だ。

SW20で日本初のゼロヨン9秒入りを果たして以来、3Sパワーチューニングを牽引し続けるアクティブ。ハードなスペックが多いイメージだが、極限のチューニングを知っているからこそ、今、提唱するプランニングに、その意味と価値があるのだ。

●取材協力:ガレージアクティブ 福島県会津若松市城北町8-43 TEL:0242-25-1833

記事が選択されていません

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption