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NAからターボチューンまで! 2JZチューニングに限界はない!
RB26DETTと双璧を成す国産直6エンジンの雄、2JZエンジン。デビューからこれまで数多くのチューナーが様々なチューニングに取り組んできた。パワーチューンの方向性はそれこそ星の数ほど存在するが、ここではリアルなストリート仕様として進化を遂げた3台のJZA80スープラを取り上げながら、2JZチューンの魅力に迫っていく。
2JZ-GTE改6連スロットル+T78-33Dタービン仕様
3.0Lクラスのターボ車で大パワーを狙う場合、吸気効率を高めるためによく使われるのがインフィニティQ45スロットル。ただ、それだと他の人と同じになってしまう…ということで、この車両はレスポンスアップにも効果抜群な6連スロットル仕様でチューニングを進めている。
当初はRB26の純正6連スロットルを流用するつもりだったが、ボアピッチと装着スペースの問題から断念。選ばれたのは、AE111用45φスロットルだ。純正インマニを加工してスロットルボディを組み合わせ、サージタンクなどもワンオフ製作。制御系は純正ECUを基本にeマネージで補正を入れる。
エンジン本体は、トップ形状が2JZ用よりもフラットな(凹みが少ない)1JZ用ピストンに交換、耐久性アップのためのH断面コンロッド、バランス取りされたクランクシャフトなどが組まれる。カムはオリジナルでIN、EXともに272度(10.8mmリフト)。シムのインナー化で高回転化にも対応している。
何より、圧縮比をノーマルの8.5から9.0に高めてるのが見どころで、6スロ化と合わせたハイコンプ化によって、中間域のトルクと全域におけるレスポンスの大幅な向上を実現してるのだ。タービンにはT78-33Dをチョイス。最大ブースト圧1.4キロで600psを発揮する。
サスペンションはビルシュタインベースのオリジナル車高調を装着。バネレートはフロント18kg/mm、リヤ12kg/mmだ。また、フロントキャリパーはAP製4ポッドに交換されている。ブレーキパッドにはエンドレスのCC-Mをチョイス。
燃調は純正ECUでの圧力制御がベースだが、eマネージでスロットル開度とエンジン回転数によるマップを作り、制御面からもレスポンスを追求しているのも、このチューンドの大きなポイントだ。
2JZ-GE改6連スロットル仕様
ターボモデルに比べて、かなり影の薄いJZA80のNAモデル。しかし、3.0Lの排気量はNAでも豊かなトルクを生み出す上に、直列6気筒ならではの官能的なサウンドを持っているため、あえてNAを推すマニアもいるほど。そして、「速さではなく“乗ってて楽しい!”と思えることが大事」というオーナーが辿り着いたのが、このJZA80だ。
スロットルはAE101純正43φを44φに拡大加工して6連スロットル化。EXマニはパイプ径42.7φのワンオフ品で、NAチューンの醍醐味といえる高回転域でのパワー感と伸びを重視した6-1タイプとされている。腰下は戸田レーシングの87φピストンで排気量を拡大すると同時に、圧縮比を11.4までアップ。カムはJUNのワンオフ品でIN、EXともに272度(10.8mmリフト)が組まれる。その他、メカチューンと言われる内容が全て施された2JZは288psを発揮。
最高出力は大した数値ではないが、常用7500rpm、レブリミット8000rpmまで回しきれる官能性こそがNAメカチューン+6スロの面白さなのである。
2JZ-GTE改GT2530kaiツインターボ仕様
ツインターボキットがラインナップされてないことに加え、純正タービンのブーストアップ仕様でも450psが狙えてしまう。そんなことから、2JZ-GTEのタービン交換仕様はビッグシングル化が一般的となっている。その一方で、ツインターボ仕様には2JZの持ち味でもある低中速トルクを、ビッグシングル以上に高められるという大きなメリットがあったりする。このJZA80は、まさにそれを狙った仕様だ。
ベースはVVT-i無しの前期型でエンジン本体はノーマル。JZA80では珍しくアフターのタービンを使ったツインターボ仕様だけに、エンジンルームの眺めも独特だ。GT2530Kaiタービンをセットして、最大ブースト圧1.3キロ時に現状500psを発揮。燃料系はポンプ、インジェクターともに容量アップが図られ、制御にはF-CON Vプロが使われている。
サージング防止のポーテッドシュラウドを持ったGT2530Kaiタービン。そもそもGT2530系はRB26のポン付けタービンとしてよく使われ、特性的にも非常に扱いやすいと評判が良い。そんなタービンをさらに排気量が大きく、もともと低中速トルク型の2JZに組み合わせたら…どんな特性になるのかは想像に難しくない。
パワーアップに伴い、熱がこもりやすい6番シリンダー側から強制的に冷却水を循環させるペントルーフオリジナルウォーターバイパスキットを装着。これで水温が約10度下がり、サーキット走行などでの全開時間も長くなった。
足回りはHKSハイパーマックスダンパーを軸に構築。スプリングは標準装着されるモノで、バネレートはフロント14kg/mm、リヤ8kg/mmとなる。
マフラーはメインパイプ径80φ、テール径115φのワンオフ品が装着される。エクステリアは、前後バンパーとリヤディフューザーはトップシークレット、ボンネットやフェンダーはアブフラッグというエアロミックスによって、アグレッシブなエクステリアを演出している。
「このJZA80は、エンジン本体がノーマルなので高回転域でしっかり吸気してくれないんです。タービン容量にはまだ余裕がありますから、256度とか264度くらいのカムを組むだけですぐに50psは上がるでしょうね」とペントルーフ北林代表。タービン容量としては650psを狙えるようで、このスペックにはまだまだ“先”があるというわけだ。
●取材協力:ペントルーフ 東京都大田区大森東2-28-2 TEL:03-5493-0840
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