「NAチューンと過給機チューンの二刀流で挑む!」HKSが取り組むFA24チューニング最前線

2.4Lに拡大されたエンジンのポテンシャルを効果的に引き出す!

 先代モデルをも凌ぐ勢いで、GR86/BRZのチューニングプロジェクトを展開するHKS。コンセプトとして掲げるのは“現行FRスポーツを誰よりも楽しむ”というもの。そのパーツライナップは、新世代の車高調からタイムアタック仕様のノウハウをフィードバックしたボディキットまでマシン全体に及ぶものだが、いよいよ本格始動となったのがHKSの代名詞であるパワーチューニングだ。HKSが推し進めているのは、自然吸気(NA)とボルトオン過給機の2刀流。ここではそんなHKSのFA24チューニングの最新事情に迫っていく。

NAチューニング編

コールドエアインテークキット:17万500円

FA24の究極のインテークシステムとして、高い吸気効率と吸気温度の低下&安定化を実現させたのがこのコールドエアインテークキットだ。構成は、カーボンサクションとインテークダクト、インテークボックス(スーパーパワーフローを含む)となっていて、先にサクションを装着していた場合への対応として、各パーツは単品での購入も可能だ。

フロー成形による1ピース構造のインテークダクトは、純正置き換えレイアウトながら開口部の拡大により純正比22%もの吸気抵抗軽減を実現。キットのエアボックスには、さらに新設のサイドダクトも設けられている。

純正のゴム製インテークパイプのジャバラ部分を滑らかなストレートパイプとし、吸入抵抗の低減を図るカーボンサクションキット。性能面でメリットのある純正チャンバーが装着できる設計もポイントだ。

性能は申し分なし。20分のアイドリング後、市街地や郊外、高速道路などの走行パターンを模したWLTCモード(世界的な燃費基準)で吸気温度の推移を測定したところ、全域で純正よりも低い吸気温度を実現(HKS社内テスト)。飾り言葉の“コールド”は、伊達ではないというわけだ。

スーパーマニホールドGT-SPEC:19万8000円

排気系チューニングパーツの中でも、近年その効果の高さで欠かせない存在となっているのがエキゾーストマニホールド。低速トルクの確保に優れる4-2-1レイアウトの本体は、検討を重ねた設計で完全等長を実現。ヘッド側フランジはパイプ挿入部の段付きを改善させた新設計となっている。

触媒は純正が600セルのセラミックタイプなのに対し、HKSが採用するのは150セルの低密度メタルタイプ。高い排気効率を実現しつつ、触媒貴金属を最適化することで純正レベルの浄化性能を保持しているのである。もちろん、第三者機関による排ガス証明書を取得した車検対応品だ。

HKSの社内テストでは、スーパーマニホールドGT-SPEC&ハイパワースペックLIIの投入で最高出力13.9ps/最大トルク2.3kgmのアップを達成。4000rpm付近のトルクの谷の改善効果を発揮している点も見逃せない。

これら吸排気チューンを合わせて行なうことで、NAならではの五感に訴えかける気持ちの良い走りを実現できるのだ。

過給機チューニング編

GT2スーパーチャージャーキット:53万9000円

FA24エンジン用のボルトオン過給機として、まず設定されたのがGT2スーパーチャージャーキットだ。キットの構成はGT2-7040Lスーパーチャージャー本体に加え、インタークーラーやパイピング、潤滑用のトラクションフルード関係、取り付けブラケット、その他ショートパーツまでを含む車種専用のフルキット設定で、補機類が密集したエンジンルームに違和感なく装着が可能となった。

エアクリーナーは純正ボックスを使用するレイアウトとしたのは、静粛性と吸気温度の安定化を配慮したため。エンジン本体はノーマルのまま、排気系パーツも不要なので、スーパーチャージャーキットはコストパフォーマンスの高いパワーアップメニューと言える。

総切削コンプレッサーホイールとマットブラック処理が施されたGT2-7040Lスーパーチャージャーは前モデル用のキットでも採用されていたものだが、吸気量を制限するリストリクターの径を400ccの排気量アップに合わせて拡大している。

GT2スーパーチャージャーは純正ECUとのマッチングも可能だが、そのパフォーマンスをフル発揮させるためのサブコントロールシステム(16万5000円)も設定。専用データがプリセットされており、インストールにも配線カットの必要がない完全カプラーオンを実現しているのもポイントだ。

GT2スーパーチャージャーキットに標準設定の39φリストリクターに対し、サブコントロールシステムには大径の43φを付属。リストリクターはFA20用ではスーパーチャージャー本体に装着していたが、FA24ではサクションへの取り付けとなった。

「純正ECU対応のスーパーチャージャーは39φのリストリクター装着で約270ps。今回のサブコン(F-CON iS)によるポートインジェクターの燃料増量を前提とした43φのリストリクター仕様では約300psが狙えます」とはHKS近藤さん。

このパワーグラフは、ノーマル(黒線)と純正ECU制御のGT2スーパーチャージャー(青線)、サブコントロールシステム(F-CON iS)制御のGTスーパーチャージャー(紫線)を比較したもの。純正ECUでも全域でのパワーアップが可能だが、サブコン追加ではさらに高回転域の伸びを獲得していることが分かる。

なお、出力の実測値は、ノーマルの241ps/26.1kgmに対し、スーパーチャージャーキットのみが297ps/26.8kgm、サブコン追加で316ps/36.8kgmとなる。

GR86/BRZの潜在能力を解放させる、至宝の過給機チューニング。費用対効果まで含めて、魅力的すぎるだろう。

オイルクーラーキット:23万9800円

サーキット等でスポーツ走行を行うと、わずか数分で油温が130度を超えてしまうGR86&BRZ。純正で水冷式オイルクーラーを備えているものの、それでは圧倒的に足りないのだ。

そこでHKSは、12段の空冷式コアを専用設計エアガイドと共にバンパー内にマウントするシステムを開発。過給機仕様まで対応できる最強の空冷式オイルクーラーキットを開発したのである。

性能は驚異的だ。純正よりも油温が厳しくなるGT2スーパーチャージャー仕様のGR86でテストを実施したところ、純正状態ではわずか6分の走行で油温が130度に達したが、オイルクーラー装着車は温度上昇が緩やかになり、120度に達したのは7.5分後。それ以降も油温は120度前後で安定し、過給機仕様の性能を保ち続けたのだ。

新設計のアルミ削り出しオイルブロックは、従来タイプより薄型とすることで、フィルターの頂点をエアコンパイプより低い位置にレイアウト。オイルフィルターがエンジンルーム内に突出することを回避したのだ。また、ブロックにはサーモスタットが備わっているため、夏季はもちろんオーバークールを招きがちな冬場での使用も安心だ。

インストールにあたっては純正のウォッシャータンクを撤去する必要があるが、キットにはバッテリー脇に設置する移設型ウォッシャータンクが付属する。しかも簡易的な物ではなく、ブラックアウトされた強固なアルミ製で、キャップまで専用設計という拘りようなのだ。

バンパー越しに確認できるエアガイドのHKSロゴが、さり気なく存在感を主張する。ガイド先端部に設けた可変式フラップの調整機能により、GR86とBRZのどちらのバンパーでもジャストフィットが可能となる。

なお、HKSでは現在FA24チューニングにおける“第3の選択肢”となるボルトオンターボキットもリリースに向けて開発中とのこと。その動向にはますます目が離せなそうだ。

●問い合わせ:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235

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