目次
アヌビスの進化はまだまだ終わらない
毒とエロスで包み込まれたワイドボディFD3S!
かつてプロミュージシャンだったオーナーが、20年以上の歳月を費やして進化させているII型のFD3S。拘りが随所に散りばめられたその姿には、ある種の“異様さ”さえ感じさせる独創性がある。
![](https://motor-fan.jp/weboption/wp-content/uploads/sites/3/2023/09/anubis-011-1024x640.jpg)
エクステリアは、“毒とエロス”というコンセプトの元に生み出されたワンオフのワイドボディ仕様“anubis(アヌビス)”だ。手掛けたのは鬼才デザイナー・上保正道氏(元アブフラッグ代表/現ミラージュオートデザイン)。陰影を意識し、直線と曲線を巧みに使い分けながら構築されたデザインフォルムには“アヌビス”というコードネームが与えられた。エジプト神話に登場する冥界の神とは、言い得て妙である。
![](https://motor-fan.jp/weboption/wp-content/uploads/sites/3/2023/09/anubis-013-1024x640.jpg)
そんな肢体の表面を覆い尽くす紫色もまた、このFD3Sを語る上で外せないアイデンティティの一つだ。
「青と赤と黒の要素からなる紫は、高貴かつエロティックな妖艶さを秘めた色として、とても気に入っています」と語るように、その徹底ぶりは病的とも言えるほど。外装は元より、エンジンルームやタービン、インパネ、ラゲッジに鎮座するカスタムオーディオシステム…などなど、逆に紫ではない箇所を探す方が困難なレベルなのである。
![](https://motor-fan.jp/weboption/wp-content/uploads/sites/3/2023/09/anubis-005-1024x682.jpg)
ダッシュボードやパネル類はガレージマックのスペシャルカーボン仕様を導入。割れやすいデフロスターガーニッシュは海外の金属製に変更するなど、細部まで妥協せずに手が入れられている。
![](https://motor-fan.jp/weboption/wp-content/uploads/sites/3/2023/09/anubis-006-1024x682.jpg)
シートはレカロのSR-IIで表皮のみならずダイヤル部までパープルに変更。純正のシートベルトまでカラーチェンジしていることには驚かされる。
![](https://motor-fan.jp/weboption/wp-content/uploads/sites/3/2023/09/anubis-007-1024x682.jpg)
リヤハッチを開けるとカスタムオーディオが顔を出す。ただし、現在は使用しておらずアイローネゲート仕様へのアップデートのタイミングで撤去予定とのこと。5点式ロールバーはR-magicのアルミ製だ。
![](https://motor-fan.jp/weboption/wp-content/uploads/sites/3/2023/09/anubis-008-1024x682.jpg)
ホイールにはアブフラッグのプリズムをセット。ディスクはワンオフのパープルカーボン仕様としているのがポイントだ。ブレーキはエンドレスのキットをパープル加工してインストールしている。
![](https://motor-fan.jp/weboption/wp-content/uploads/sites/3/2023/09/anubis-003-1024x614.jpg)
紫への執着はクルマだけに留まらず、仕事道具や生活用品、さらにはオーナーの魂そのものと言えるギターにまで及ぶ。
「ギターはコンバットギターというオーダー屋さんで作りました。2本あるんですけど、いずれはもう1本作りたいんですよね」。
![](https://motor-fan.jp/weboption/wp-content/uploads/sites/3/2023/09/anubus-014-1024x682.jpg)
もちろん、パワーチューニングも抜かりはなく、心臓部の13B-REWには往年のIHI製C7タービンを組み込み、ブースト1.0キロ時に400psを発揮。なお、これらは名門“CCE”によるメイキングだ。
![](https://motor-fan.jp/weboption/wp-content/uploads/sites/3/2023/09/anubis-010-682x1024.jpg)
「外装はこれからリフレッシュとリメイクを行う予定なんです。本当はそれが終わってから撮影してほしかったんですけどね」。そう悔しがるオーナーの表情からは、唯我独尊の個性を求める男の、もはや宗教とも言える、求道にまつわる執念が感じられた。
アヌビスと紫、そして音楽。きっと、彼はこれからも変わらないだろう。