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令和セブンプロジェクト始動
廃盤になった純正パーツは最新チューニングでカバー
マツダ車チューニングの老舗として全国的な知名度を誇る“Rマジック”。代表の大原さんは研究熱心な人柄で知られているが、そんなトップチューナーが現在チカラを注いでいるのがFD3Sの進化だ。
事の発端は、大原代表が日常の足として使っているND型ロードスターの存在だった。スポーツモデルではあるものの、最新デバイスがもたらす快適な走行性能と安定感はドライバーに一切のストレスを感じさせない。次第に、「このテイストをFD3Sに盛り込めないだろうか?」と考えるようになり、居ても立って居られず、独自の『令和セブンプロジェクト』をスタートさせたのである。
「FD3Sの弱点は色々あるけど、一番大きいのは純正パーツが壊れること。タービンやそれを制御しているバキュームユニット、燃料漏れの原因になるフューエルパルセーションダンパーの不具合など…挙げたらキリがない。どうせ修理するなら、壊れにくくて永く使える最新パーツを使えば、結果的に安く付くんじゃないかと考えたんです」と話す。
コンセプトは「現代風のFD3S」。そのために用意されたアイテム&メニューは様々だが、いずれも快適で壊れないクルマへと仕上げるために厳選したものばかり。30年以上も前に設計された純正パーツと比べて、どちらが優れているかは言わずもがな、だ。
例えば、パワーの要となるタービン。オイル漏れやハウジングにクラックが入る事例が多い純正シーケンシャルツインターボはすでに廃盤だ。制御を担うバキュームユニットもトラブルが多発している。
そこでRマジックでは、パフォーマンスや強度面で優れるシングルターボ化を提案。ギャレット製の最新メタルタービンGBC35-700に、HKS製のEXマニを組み合わせたキットの開発を進めているのだ。車検対応仕様で400ps前後を狙えるというから、ポテンシャルも十分だろう。
フロントパイプは作り直す必要があるものの、Rマジックでは40万円半ばでのリリースを予定している。複雑なシーケンシャル制御が不要になるシングルターボ化は、トラブル予防に有効であることは言うまでもない。
エンジンマネージメントには、高性能フルコンの代名詞となっているLINKを使用。モデルは電子制御スロットルにも対応可能なエクストリームだ。純正ECUと比べて処理速度が早いためエンジンの吹け上がりがスムーズになり、アクセルを踏み直した際のレスポンスなどはハッキリと体感できるほど変わる。
LINKエクストリームの投入に伴い、スロットルも電子制御式へとアップデート。ワイヤー式では不可能なレベルでのコントロールが可能な上、走り優先のオーナーに対してはアンチラグを盛り込むことも可能だ。
燃料噴射を司るインジェクターは、純正1ホール式から霧化効率に優れたマルチホール式へとチェンジ。そもそもインジェクターの役割は、ガソリンの霧化(微粒子化)を促進させて空気とガソリンをより均一に混合させることにある。ポート形状や目標馬力、セッティングなどまで絡めると話は変わってくるが、霧化という観点において噴射口の多噴孔化は正攻法だ。
何より、今時の高性能エンジンは全てマルチホール式インジェクターを採用しているという事実が、両者の性能差を表す答えでもある。
重要なエキセントリックシャフトセンサー(クランク角センサー)も、信号精度が高いアフターのセンサーに交換する。いくらECUを最新式にアップデートしても、正確な点火タイミングや燃料噴射・噴射タイミングの源が古いままでは、その性能を発揮できないからだ。
純正エアポンプは新品で約18万円と非常に高価。そこでRマジックではリビルト品を用意している。価格は下取りありで11万円だ。
鋳物で成形されたオリジナルのインマニは、ストレートポートを採用して吸入効率を極限まで高めることが可能。ただし、純正エアポンプが装着できなくなるため、車検対応のエアポンプレスキャタライザーも用意している。
これらのアプローチは速さを徹底追求するチューニングではなく、街乗りでの快適性を現代のスポーツカーに近づけるための、いわばレストモッド。今後はデモカーにパーツを組み込んでテストを重ね、正式なメニューとしてエンドユーザーに届けていくそうだから期待したい。
●取材協力:Rマジック 神奈川県相模原市中央区田名3530-1 TEL:042-764-7077
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