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最大ブースト圧2.0キロ、800馬力が繰り出す強烈な一撃
駆動系の強化も抜かりナシ! パワーを最大限に活かし切る!
オリジナルエアロを身にまとい、イメージカラーのゴールドで彩られた“トップシークレット”スーパーGT-R。派手なエクステリアにまず目を奪われるが、最高速=パワー系チューンが大好きなスモーキー永田のこと、注目したいのは見た目ではなく、当然“中身”だ。
エンジン本体は、腰下にHKS鍛造ピストンとH断面コンロッドを組んで強化。ヘッドにはJUNカムシャフト(IN/EX264度 10.2mmリフト)がセットされ、バルタイセッティングと合わせて、低中回転域のトルク特性と高回転域のパワー特性を向上させている。また、ヘッドガスケットをHKS製メタルに、インジェクターも1000ccに交換することでハイブーストにも対応。
そこにセットされるタービンは、トップシークレットオリジナルのBB900。純正タービンをベースとしてコンプレッサー側にHKS GT3037、エキゾースト側にGT2835のホイールを組み込むと同時に、軸受けのボールベアリング化も図られる。タービン名から想像が付くように、想定馬力は2基で900psだ。
コンプレッサーブレードの比較。左から標準車ノーマル、トップシークレットBB700、同BB900となり、大きさの違いは一目瞭然。
ブーストコントローラーはブリッツデュアルSBCを使用。最大ブースト圧は2.0キロにセットされる。
また、パワーがそこまで高まると大きなネックになるのは駆動系だが、対策済みなのは言うまでもない。クラッチディスクの枚数アップや強化1速ギヤの導入、オイル流路拡大による油圧アップなどによって、GR6型ミッションが抱える問題を解消している。
とくに初期モデルではクラッチオイルシールの破損や6速置き去りなどのトラブルが発生しているが、ミッションカウンターシャフト先端のCリングが脱落するのもその一例。そこでトップシークレットでは、ネコ・コーポレーションが開発したCリングストッパーを装着することで対策している。
これが、カウンターシャフト前端のCリング部。坂道で後ずさりしながら発進(カウンターシャフトの回転方向に対して逆方向の駆動トルクが入力)するような状況で、比較的簡単に飛んでしまうから始末が悪い。ちなみに、その後の対策でCリングから先のスプライン部が延長され、支持剛性が高められている。つまり、初期モデルは設計ミスということだ。
また、シフトソレノイドの位置センサー交換やクラッチディスクのクリアランス調整など、駆動系トラブルの原因になりそうな箇所には全て手が加えられている。
足回りはアラゴスターベースのトップシークレットオリジナル、スーパーダンパーを装着。フロント24kg/mm、リヤ20kg/mmというバネレートは湾岸&富士スピードウェイをターゲットとしたチョイスで、減衰力も専用セッティングとなる。
アッパーアームはオリジナル調整式で、ネガティブキャンバー角を最大4.5度までつけることが可能。また、ブレーキはオリジナル400mmオフセットローターキットで制動性能を高めている。
フロントロワアームの前後ブッシュはトップシークレットオリジナル、スーパーピロブッシュに交換。これで加速時にトーアウト方向、減速時にトーイン方向に動いてしまうフロントタイヤのアライメントを適正化することができる。
リヤサスは、2本のロワアームとトーコントロールロッドを調整式のトップシークレットオリジナル品に交換。セッティング幅を広げることで、走るステージにマッチしたアライメントを実現する。
さらに、外装はオリジナルエアロキットで武装。ノーマルに対して150mm延長されたフロントバンパー&ディフューザー、ボディサイドからフロア下への空気の巻き込みを防ぐサイドディフューザー、角度調整機能を持つリヤウイングなど、高速域での空力性能を確実に向上させる。
ストイックに速さを追求したスモーキー渾身の作。そう言っても過言ではないR35GT-Rは、一体どれほどのパフォーマンスを見せるのか? 興味津々だ。ストリートでの撮影を早々に終わらせ、場所をクローズドの高速周回路に変える。
「1~2速は面白いよ。ただ、かなり暴れるから、ステアリングをしっかり握ってないと駄目だよ」と、助手席のスモーキーが言う。最大ブースト圧2.0キロで800psオーバー…そんなスペックを聞いて身構えているところなのに、さらに緊張が高まる。
まずはローンチスタート。ブレーキペダルに左足を乗せて、右足でアクセルペダルを床まで踏みつける。タコメーターの針が3000rpmで張りついたことを確認したら、左足をリリース。
絶妙なクラッチミートの直後、頭がガクン…と後ろに持っていかれるほどの強烈な加速Gが襲う。テールを小刻みに振りながら、1速はレブリミットの7000rpmまで瞬時に吹け切り、間髪入れず2速にアップ。まさに電光石火のシフトチェンジだ。しばらく速度を上げ下げしながらクルージング。カム交換+バルタイセッティングのおかげで3000rpmあたりでもレスポンスは鋭く、右足の動きに即応してトルクが立ち上がる。
一方、ターボによるパワーの盛り上がりを明確に感じるのは4500rpm手前から。そこから7000rpmまでは2.0キロという最大ブースト圧も手伝って、とてもノーマルタービン改とは思えない暴力的な伸びを見せてくれる。
6速200km/h+αからペタンと床までアクセルペダルを踏みつけると、4速までキックダウンしてフル加速態勢に入る。強大なトルクを伴いながら、タコメーターの針がレブリミット目がけて鋭く駆け上がっていく。
底の見えないパワー感に驚きと嬉しさを覚えながら、250km/h付近から一段と安定感が増し、ハンドリングがズシッ…と重くなる。最高速&富士スピードウェイ狙いのサスセッティングに加えて、「リヤウイングを立ててるからね」とスモーキー。
メーター読み280km/hで6速に入った。ノーマルなら明らかに加速が鈍るところだが、それまでと変わらない勢いで空気の壁を切り裂いて突進していく。安定感はさらに増してるようで、恐怖感を抱くことはまるでない。
300km/h突破。ゴール地点が、みるみるうちに迫ってくる。まだ十分な伸びしろがあることを実感しながら、早めにアクセルペダルから右足を離す。恐ろしいほどの速さと安定性。これが最先端のリアルチューンドの実力というわけか。
●取材協力:トップシークレット 千葉県千葉市花見川区三角町759-1 TEL:043-216-8808
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