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フラットな吹け上がりは速さと乗りやすさにも貢献
軽量化無しで筑波59秒をマークするFD3Sに学ぶ調律術!
FD3Sに憧れを抱くクルマ好きは多いだろう。ピュアスポーツらしい流麗なフォルム、唯一無二のロータリーエンジン、優れたコーナリング性能など、その魅力は一言では表現できないものだ。しかし一方で、壊れやすいなどといったマイナスイメージを持つ人も少なくない。
そうしたネガティブ要素を払拭するために立ち上がったのが“パンスピード”。独自にトラブルのリスクを減らすセットアップ術を確立し、ユーザーに提供しているのだ。その要となるのは、ECUセッティングとクーリング対策だという。
「フルコンのLINK G4Xは制御項目が多くてマップも細かいので、緻密なセッティングが可能です。ラムダセンサーを追加することでフィードバック領域が広がって、目標空燃比にしっかり補正できるのも大きいですね」と、パンスピードの佐藤さん。
ただし補正を入れすぎると、メカ的なトラブルが発生した場合でも普通に走れてしまい、ドライバーが不具合に気付かない恐れもある。その辺りも考慮して、補正値を最適化しているそうだ。
LINKには様々なモデルが存在するが、パンスピードでは純正ECUのケースに納められるG4Xプラグインを推奨。処理速度の速さや制御項目の多さはもちろん、ハーネス製作の必要がないのも大きなメリット。もちろん、メタリングオイルポンプの制御も可能だ。
予算に余裕があって将来的にステップアップを考えているなら、ハイエンドモデルのG4X Furyを導入するのも手だ。高速プロセッサーを搭載し、ラムダセンサーも直接ECUで駆動できるため、より高度な制御が可能だ。
もうひとつ、エンジン保護の意味で重視したいのが吸気温度対策だ。FD3Sは吸気温度が上がりやすく、対策せずにパワーチューンを進めるとノッキングを誘発してエンジンに深刻なダメージを与えてしまう恐れがある。そのため、パンスピードでは早い段階から大容量インタークーラーの導入を推奨している。
そしてタービン。FD3Sはシーケンシャルツインターボを採用しているが、システムが複雑でトラブルが発生しやすい。また、シーケンシャル制御の切り替わりで起こるトルク変動(谷間)も走りをスポイルする原因になるため、パンスピードはシンプルな常時ツインターボへと改良するメニューを展開している。
常時ツインターボ化に伴って、EXマニとインテークパイプに仕込まれている制御バルブは撤去。もちろん穴埋め処理も行なわれる。
制御系の見直しに加えてパンスピードのデモカーでも採用する“常時ツインターボ化”を実施すれば、トラブルの芽を摘めるだけでなく、中間域でのトルクの谷間も解消できる。結果として乗りやすくて速い、フラットな特性が手に入るのだ。FD3Sに長く乗り続けたいオーナー諸氏は、検討してみる価値はありだろう。
●取材協力:パンスピード 埼玉県蓮田市関山2-7-8 TEL:048-764-2040
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