重要なのはマシンスペックよりもドラテク!?

息の合った走りを見せるFFドリフターを捕獲!

FFの軽自動車で、ノリノリのツインドリフトを披露してくれたのは、エッセ乗りの“FドリSさん”と、ミラ乗りの“マヒロさん”。

Fドリにおいて重要なのは、車両のチューニングやセッティングではなく、なによりもドライバーのスキル。FRドリフトとはまったく異なる理論が求められるだけに、見映えよくキメるには、徹底的に走り込んで身体で覚えるしかない。そんなFドリの世界で、師弟関係という2人が見せる息の合ったコンビネーションは、まさに必見だ。

「ツインで前を走る時は、スピンしないことはもちろんですが、後ろが入りやすいように角度をつけて走るようにしています。僕らはこれを“ランニングコミュニケーション”と呼んでいて、助走の段階から呼吸を合わせてるんですよ」と語るのは、先行を務めるFドリSさん。Fドリに限らず、ツインドリでのシンクロ率を高めるには、前走車の角度の作り方が非常に重要なのだ。

FドリSさんの愛車エッセは、エンジンはノーマルのKF型をそのまま使用。チューニングは純正エアクリボックスの拡大加工のみという仕様で、パワーに頼らずとも楽しめるのが軽自動車ドリフトの魅力だと話す。

リヤの足回りは、ノーマルのスピンドルでは強度不足のため、ABS付きグレードのハブ付きアクスルに変更。サスペンションはKIDSレーシング製アルト用を流用している。

リヤタイヤにはグリップ力の低い銘柄をチョイスし、ドリフト時の抵抗をできるだけ抑えている点も、軽自動車ドリフトの定番セオリーだ。

一方、後追いを担当するマヒロさんはこう語る。

「追走では、思い切って前のクルマに“当てに行く”くらいの気持ちで寄せていきます。やや先振りして角度をつけていくのはFR車と同じ。FF車は進入時の勢いがとにかく重要で、気合いはFR以上に必要かも。角度はサイドブレーキでつけますが、引きすぎるとスピンしやすいので、前のクルマに合わせながら微調整しています。角度が浅くなりすぎないように気を配りつつ、アクセルを踏むと今度は車体が前に戻りやすい。だからアクセルはパーシャル〜オフくらいで、速度を合わせています。入りのスピードは、できるだけ高く保ちたいですね」。

ちなみにマヒロさんのミラは、最近1300ccのK3エンジンにスワップされたばかりで、今回の走行会がシェイクダウンだったという。NAならではのレスポンスと、110psというパワーのおかげで、扱いやすさが増してより楽しくなったそうだ。

元はATだったミラだが、現在は5速MTに換装。内装も小径ステアリングや追加タコメーターなどでドリフト仕様へと仕上げられているが、大きな改造はされていない。

サスペンションはシュピーゲル製の車高調をセット。アクスルはL150ムーヴとL900ミラの組み合わせで、スピンドル式からハブ式に変更されている。

リーズナブルに手に入る軽自動車を使って、FFドリフトに挑戦するのもアリ。エンジンスワップでパワーアップを狙うのもアリ。2人の走りからは、軽自動車の多彩な楽しみ方を見せてもらった気がする。

PHOTO&REPORT:渡辺大輔

「135馬力の快速アルトワークスをレーサーが試す!」エンジン本体ノーマルとは思えないほどの戦闘能力!?