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最新デバイスのフル投入でSR20DETが覚醒
これぞ令和仕様のドリ専シルビアだ!
この美しいS15シルビアは、オーナーである川又さんが手塩に掛けて育て上げたドリフトスペック。名門“ステルスガレージ”に通いながらチューニングのノウハウを吸収していき、気がつけば機械加工からセッティングまで自らこなす生粋のプライベーターへと進化していたそうだ。
愛車を自分の手で製作するプライベーターは数多く存在する。そんな中で川又さんを取り上げたのは、彼が取り組むチューニングレベルの高さにある。
愛機のエンジンは、HKSのGTIII-RSタービンを装着した400ps仕様。パワースペック的には標準的な仕様だが、タービンのアクチュエーターバルブを溶接でキャンセルし、代わりに6ブースト製エキマニを用いてウエストゲート化を図っていたりする。レスポンスアップを目的にしたチューニングだが、これを自分でやってしまうのだから恐れ入る。
エンジンおよびブーストコントロールの制御はフルコンのLINK G4Xが担当。もちろん、そのセッティングも自己流で構築している。
トラブルが増えている可変バルタイ“NVCS”は、ジュラテックの製品「NVCS-GT」で対策。LINK制御と組み合わせることで、より効率的なバルタイの位相変化を実現している。なお、このNVCS-GTの開発には川又さんとこのシルビアも関わっているそうだ。
スロットルはLINKジャパンが扱うKTD(ボッシュ製)の68φ電子制御式を投入。シルビアの場合、ペダル(&ワイヤレススイッチ)にはZ33/34用などを使うのが定番だが、川又さんはストローク感が絶妙でセンサーの世代も新しい某車種用を使っている。
チェーン駆動を採用するSR20DETは、ベルト駆動のRB26DETTと比べればクランク角センサーの測定精度は高いが、ギヤのバックラッシュの影響は避けられない。そのため、経年劣化が進んだ純正センサーは5-0イグナイト社のトリガーキットに変更済みだ。
その他、エンジンルームは白いファンをブラックアウトしたり、黄ばんだパワステタンクを自作のメッキ缶カバーで覆うなど小技的なルックス向上策も多数講じられている。
インテリアメイクも拘りが満載だ。助手席エアバッグ位置にデフィの60φメーターを4連で並べ(撤去予定)、その他の車両情報はセンターコンソールに設置したタブレットモニターに表示。油圧サイドブレーキレバーがドリフト仕様を物語る。ステアリングはMOMOドリフティングだ。
頭上のバイザー付近に設けられたカラフルなスイッチは、LINKと連動したCAMキーパッド。
なお、タブレットモニターに表示させる項目はカスタム可能で、現在は4種類のパターンを試している。走行時に見るというよりも、インカームービーに映し込んで簡易ロガー的にプレイバック&チェックすることが多いという。
ちなみに、川又さんはエビスサーキットに通いながら独学でドリフトを習得し、大会常連というわけではないものの、2020年にはD1地方選(日光)で優勝したほどの実力者だ。「KNL IMAGINOVATE」の名でYouTubeを中心に活動しており、日々ハイレベルなチューニングネタを発信している。
パワー系のみならず、サスペンションからボディ補強に至るまで、独自理論に基づくチューニングが散りばめられたS15シルビア。尽きぬチューニングへの渇望。何より、ここまで作り込んだその情熱には、ただ感服するばかりだ。
●取材協力:KNL IMAGINOVATE (YouTube/Chihiro Kawamata)/ステルスガレージ 茨城県那珂郡那珂町本米崎2939-20 TEL:029-352-0081
【関連リンク】
KNL IMAGINOVATE
https://www.youtube.com/@mnps15/videos?view=0&sort=dd&shelf_id=0