「25歳にして初代ジェミニを6台所有!?」原寸大プラモ感覚でレストア&チューニングに挑むマニアを捕獲!

鈑金もFRP成形も完全DIY!

エンジンはG180改2.0L仕様を搭載予定

オペルカデットCの兄弟車として1974年に発売された初代ジェミニ。1.8L直4DOHCのG180W型エンジンを搭載するスポーツグレードZZ系(車両型式PF60)が追加されたのは1979年のことだった。そんなPF60のワイドボディ仕様をDIYで製作しているのが日笠さん。25歳にして、部品取りを含め6台の初代ジェミニを所有する重度のマニアだ。

「6年前、個人売買で手に入れた初めてのPF60です。相場より安かったので多少程度が悪くてもいいやと思ってたんですけど、とても乗れる状態ではないくらいに酷くて…。引き取ってきた翌日からクルマをバラし始め、その翌週には部品取り車も買ってました」と言う。

レストアを兼ねたチューニング&モディファイ作業を行なえるのは週末のみ。日笠さんがFRPでのパネル製作など外装を手掛け、お父さんが鈑金と溶接を担当する。1日で進められる作業は限られているが、6年をかけてコツコツと仕上げてきたのが今の状態だ。

錆などで傷みが酷かったフロアパネルやサイドシル、タイヤハウスは部品取り車から拝借してきたパネルで張り替え。DIYで作業したとは思えないほどのクオリティを見せる。

ドアはアウターパネルの大半とインナーパネル下部をFRPで製作。純正スチール製ドアとのハイブリッド構造となる。「これでドア1枚当たり約2kgの軽量化。全体で8kgくらい軽くなってます」と日笠さん。ちなみに、PF60のドアヒンジはドアパネル側もモノコック側も溶接留めされるため、ドアのフルFRP化は難しいとのこと。

PF60とは判別できないほど各部パネルが剝ぎ取られ、フロントバルクヘッドとリヤクォーターパネルを残すだけの状態となった部品取り車。骨の髄までしゃぶり尽くされるという表現がぴったりで、ドナーとしての役割を十分に果たした。

外装における一番の見どころはオーバーフェンダー化で間違いない。前後オーバーフェンダーはPF60ジェミニの兄弟車オペルカデットCのレース用。フロントは自作FRP製フェンダーとの一体化が図られる。また、フロントスカートとの接合部はスタイルフォームで成形、型取りしてFRPで製作。さらに、バンパーの位置を20mmほど前方にずらし、オーバーフェンダーに対する逃げも作っている。

リヤは60~70mmほどアーチを切り上げてオーバーフェンダーをビス留め。リヤドアを開閉できるようカットした端部の処理も抜かりなしだ。日笠さんいわく、「ボディ接触面のチリがまるで合わず、外側の折り返し部分も形状が気に入らなかったので8割くらい作り直しました。簡単に装着できると思っていたんですけどね」とのこと。

ゲルコート仕上げとされたカーボン製トランクパネル。裏骨を省いた軽さ重視の設計で、純正スチール製の約4kgに対して1.5kgと重さは半分以下になっている。また、ヒンジを使った開閉式ではなく、四隅をピンで固定する脱着式となる。

搭載するエンジンはG200W用ピストンで排気量を2.0Lに拡大したG180W。4連スロットルは隼用46φで、ボアピッチに合わせてフューエルラインが延長加工され、ファンネルは3Dプリンターによるワンオフ品が装着される。点火系はJR130ピアッツァ用クランク角センサーにSR20用トリガーを内蔵。エンジン制御はモーテックで行なう予定だ。

製作途中にも関わらず、このPF60の高い完成度はすでに約束されている。路上に復帰する日が今から待ち遠しいかぎりだ。

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