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老舗のノウハウが詰め込まれたRB26DETTユニット
拘りのヘッドチューンで軽く回るエンジンへ!
老舗“マインズ”のクルマ作りは明快だ。基本性能を全域で向上させ、尖がなく、オールマイティに扱いやすいこと。それらはマインズチューンドの矜持に近く、トータルバランス重視こそが生命線なのである。
その軸となるパートが、ドライバビリティやレスポンスの向上に重点を置いて組まれたパワーユニットだ。
マインズのコンプリートエンジンの内容は、サーキットアタック用のデモカーとほぼ同じもの。“ほぼ”と表現するのは、新しい強化パーツやより軽量なパーツなどが見つかった場合は、順次内容をアップデートしているためだ。
基本的には新品のヘッドやブロックを使って組まれるため、ベースエンジンの下取りは不要。腰下のムービングパーツは選択するタービンによって変わってくるが、HKSの鍛造ピストンとH断面コンロッドがデフォルト設定となる。クランクシャフトは純正ベースでDカウンター部の形状変更(2.6L仕様の場合)を行う。
続いてヘッド周り。コンプリートエンジンにおけるコア技術がここに詰め込まれていると言っても過言ではなく、ポートは5軸CNCによる精密な機械加工を実施。また、燃焼室も同様の手法でフローを上げるために形状を最適化し、さらに気筒間の燃焼バランスを整えるべく計測しながら容積を揃えていくのだ。
動弁系には、1.5mmオーバーサイズのビッグバルブや耐摩耗性&熱伝導性に優れたリン青銅バルブガイド、ベリリウムカッパーのバルブシートなど、高性能パーツを惜しみなく投入。カムシャフトはIN&EX260度/10.25mmリフトのオリジナルプロフィールが与えられる。
その他、重要なヘッドボルトやクランクボルトはスタッドタイプに変更して締め付け時の条件管理を徹底するなど、細部に渡って高精度の組み付けを行っていくのだ。
オイルポンプは、オイルクーラーの追加を前提に大容量の強化品が組まれる。油圧の安定こそがエンジンを壊さないための重要な要素だからだ。
オプション扱いとはなるものの、ガソリンの霧化特性に優れたR35GT-R純正の12ホールインジェクターを流用するメニューも用意されている。インジェクターの役割は、ガソリンの霧化(微粒子化)を促進させて空気とガソリンをより均一に混合させることにある。ポート形状や目標馬力、セッティングなどまで絡めると話は変わってくるが、霧化という観点において噴射口の多噴孔化は正攻法なのだ。
ベースエンジンがR32&R33GT-Rの場合、点火系をBNR34のパワートランジスタレス仕様にしつつ、R35GT-Rに採用されているマグネットを使用した最新のダイレクトイグニッションコイルに変更するプランは効果絶大。コイルは純正と同じ日立製を使っているため、信頼性も非常に高い。
R35GT-Rの高精度エアフロを流用するメニューも見逃せない。第二世代GT-Rのホットワイヤー式エアフロは吸気の吹き返しによるストール症状や湿度変化による測定誤差など問題が多い上、経年劣化からセンサー自体の故障も急増している。
一方のR35用は最新のホットフィルム式。ホットワイヤー式のネガがほぼ消えているだけでなく、測定精度も大幅に向上しているのだ。ECUの書き替えが必要になるため、VX-ROMとセットで取り付けることとなる。
「このコンプリートエンジンは基本的にサーキットユースを前提にする人向けで、街乗のみという方にはよりリーズナブルな精密オーバーホールリビルトエンジン(エンジン下取り)というメニューも用意しています」とはマインズ新倉代表。
コンプリートエンジンの価格は2.6L仕様が288万円で、2.8L仕様が298万円。精密オーバーホールは2.6L仕様が86万円、2.8L仕様が128万円となる。第二世代GT-Rを末長く楽しみたいと考えているオーナーは、導入を検討してみてはいかがだろうか。
●取材協力:マインズ 神奈川県横須賀市林5-7-25 TEL:046-857-3313
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