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ECUチューンにて純正比140馬力の出力向上!
弱点となる冷却系も十分な容量を確保
RZ34を開発した日産自動車の田村氏は、「このフェアレディZはドライバーにとって良いダンスパートナーであることを目指した」と語っていた。速いだけではなく、ドライバーの意志に沿って動き、より深い味わいを感じさせてくれるスポーツカーというのが、そこに含まれた意味なのだろう。
では、その走りの実力はどれほどのものなのか。それを実証しようとしているのが“オートプロデュースボス”だ。トライ&エラーを繰り返しながらECU解析を進め、ノーマルの405psから約140psものエクストラパワーの獲得に成功したのだ。
当然ながらここまでパワーを引き上げると冷却系が厳しくなるため、対策としてARCのオイルクーラーを装備。これにより、サーキットで酷使しても油温は120度で安定するようになった。
エキゾースト環境には、中〜高回転域でのパワー&トルクアップが狙えるフジツボのオーソライズA-RMをセレクト。アイドリング付近の音量は抑えられているが、アクセル全開時のスポーティサウンドは絶品だ。
増大したパワーを活かすために、サスペンションはオリジナルのゼロ・スペシャル車高調(サーキット時:F24kg/mm R22kg/mm ストリート時:F12kg/mm 8kg/mm)でブラッシュアップ。車高はもちろん、クスコの調整式アッパーアームを使ってのキャンバー調整など、ジオメトリーも含めたセッティングが施されている。デフはクスコの試作1.5WAYで、クラッチはORCのツインプレートに変更済みだ。
ブレーキシステムは前後ともエンドレスで、キャリパーはモノブロック。パッドはサーキット向けのCC-Rgをマッチングさせている。
スポークデザインが美しいホイールはポテンザのRW007(19×10.5J+35)。タイヤには同ブランドのRE-71RSを前後通し(285/35R19)で組み合わせている。
ワークスベルのステアリングスイッチ移設キットを利用し、オリジナルの335φステアリングを装備。純正のステアリングスイッチを備えつつ、小径化によりハンドリング性を高める。
シートはRZ34のキャラクターに合わせて、リクライニング機構付きのブリッド製のEdirb 171を選択。6点式ハーネスはオートプロデュースボスのオリジナル品だ。シンプルなデザインのフロアマットはプロドライブのアイテム。
エクステリアには、バリスのフロントリップスポイラーとスワンネックGTウイングをインストール。エアロパーツとしての機能性はもちろん、スポーティなフォルムの演出にも貢献してくれる。
オートプロデュースボスのノウハウを注ぎ込んだこのRZ34は、テスト段階ながらすでに筑波サーキットで1分フラットというタイムを刻んでいる。日産自動車ではノーマル状態での筑波目標タイムを1分4秒〜5秒と考えていたという話だが、このチューンドは、そのタイムの大幅更新に成功しているのだ。
このRZ34をワインディングで試したレーシングドライバーの谷口信輝選手は「今回はストリート仕様のバネレートだったから、乗っている感じはスポーティなストリートカーという感じ。サスが伸びるのでタイヤの接地感が強く、安心して踏める。パワー感も十分だし、この方向性でどこまで進化していくのか興味が湧いたよ」と評価。
「サーキットでどこまで速くできるのか。それを確かめるためにこのデモカーを作りました。ECUチューンでパワーは上がりましたが、トラクションを稼ぐためには、サスペンションや空力、駆動系のセッティングが重要なポイントとなります。筑波サーキットでの好タイムは、それらの要素が上手くバランスした結果です。このバネレートだとドライブも快適ですよ!」とは、製作を担当したオートプロデュースボスの藤岡代表。
サスセッティングの変更のみで、サーキットアタックから街乗りまでこなせる懐の深さ。スタートしたばかりのRZ34チューニングだが、このマシンは早くも一つの完成形を示してくれたと言えそうだ。
●取材協力:オートプロデュースボス 長野県長野市川合新田1370 TEL:026-266-6388
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